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【2021年版】「認知症」の症状と対処方法・予防について〜その①〜
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超高齢化社会を迎えた現代。人生100年を生きる人が増えてきました。
高齢になるとリスクを増してくるのが「認知症」の疾患です。
CHIC世代が、広島で健康に長く生きていくためにも、今回は、広島大学病院 脳神経内科医・六車一樹先生医療監修のもと、六車先生へのインタビュー形式で、「認知症」についてご紹介します。
▼この記事を読んで分かること
◎「認知症」について。
◎「認知症」の治療と対処方法について。
◎「若年性認知症」について。
この記事を読めば、「認知症」についてわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
私の家族や周囲の友人、知人にも高齢者がいます。
人と接するたびに、自分自身も含めて「もの忘れ」や「うっかりミス」をすることで、周囲との軋轢を生んでしまうこともあります。
年齢を重ねていくにしたがって、「認知機能の低下」を否めないのが私たちCHIC世代ではないでしょうか。
1. 「認知症」とは?
「認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活に支障が出てくる状態」です。
( 出典:厚生労働省:知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス )
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・レヴィ小体型認知症
・前頭側頭型認知症
などがあります。
●【質問】:「それぞれについて、六車先生の見解を教えてくださいますか?」(ライター:山田)
アルツハイマー型認知症
(六車一樹先生)「簡単に申し上げると、『アルツハイマー型認知症』は、最も頻度の高い認知症です。
近時記憶や見当識(日付・場所・人物などの認識)の障害が主な症状で、画像検査で海馬萎縮が目立ちます。」
とのことです。
◆「記憶障害」とは ◆
・新しい出来事が覚えられない。または覚えたはずなのにすぐ忘れてしまう。
・覚えていたことが思い出せない。
最近のことからだんだん忘れていき、進行とともに悪化していく症状です。
(出典:認知症ねっと)
血管性認知症
(六車先生)「脳血管障害(脳梗塞や脳出血など、脳の血管の障害が原因で、脳にダメージが生じる疾患)が原因で生じる認知症です。他の三疾患とは違い、段階的に症状が進行します。(他は緩徐進行=ゆるやかな進行)
まだら認知(記憶力や知的能力の低下はあるが、病識や判断力は保たれている)であることが特徴です。」
レヴィ小体型認知症
(六車先生)「パーキンソン病に類縁した疾患です。記憶障害を中心とした認知症に、パーキンソニズム(手足の動きが緩慢になる、手足が震える、歩きが悪くなる など)が加わります。
幻覚が多く、MIBG心筋シンチグラフィ、DAT SPECT(※ドパミントランスポーターSPECT検査) 等の検査が有用です。」
※(出典:DAT SPECT 日本メジフィジックス株式会社)
●このような検査があるのですね。初めて知りました。(山田)
前頭側頭型認知症
(六車先生)「『わが道を行く』、『脱抑制』などの性格変化、言語障害、失語症などが起こる認知症で、前頭葉、側頭葉の萎縮が目立ちます。」
とのことです。
2. 「若年性認知症」について
早期発見と対処方法
●65歳以上の5人に1人が認知症になるといいますが、 65歳未満で発症する、若年性認知症で、発症する人は多いのでしょうか?
また、若年性で症状を早期発見、対処するには、どうすればよいのでしょうか?(山田)
(六車先生)「2017年~2019年 AMED認知症研究開発事業の調査では、18歳から64歳の認知症有病率は10万人当たり50.9人で、かなり少ないです。珍しい疾患であるため、診断されづらい傾向にあります。
また、うつ病など精神疾患と誤診されることもあります。しかし、仕事に支障をきたすことで気づかれるなど、高齢者に比べて、早期に異常を気づかれることも多いです。仕事や日常生活で、おかしいと感じたら、認知症が専門的にみられる病院に相談するというのがいいと思います。」
●なるほど、若年層の患者は少ないとはいえ、発症する可能性もあるということですね。(山田)
3. 「認知症」の治療方法
薬物療法と非薬物療法
●「認知症」になった時の、主な治療方法は何ですか? (山田)
(六車先生)「まず、薬物療法と、非薬物療法があります。
薬物療法としては、アルツハイマー型認知症やレヴィ小体型認知症以外には、使用できる薬剤に限りがあります。
非薬物療法は、認知刺激、音楽療法、運動療法などです。
*アルツハイマー型認知症:コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン
*レヴィ小体型認知症:ドネペジル(コリンエステラーゼ阻害剤の一種)
*前頭側頭型認知症:認知機能障害に対する薬物療法なし
*脳血管性認知症:コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチンなどが推奨されますが、保険適応外です。」
●治療方法には様々な種類がありますね。勉強になります。(山田)
周囲が気をつけること
●「認知症」になった時に、周囲が気をつけることは何ですか?(山田)
(六車先生)「認知症の患者さんも一人の人間であり、複雑な背景・性格がありますから、なかなか一概にはいえないところがあります。逆に、だからこそ患者さんをよく知る家族にしかできない役割もあると感じます。
認知症の患者さんが何か伝えようとしても、認知症の症状のために伝わりづらいことがあります。
『認知症だからわかっていないのだ』
と決めつけるのでなく、患者さんが何を伝えたいのか、患者さんの立場になって考えてみることも重要です。
認知症がすすめば、できない事も増えてきます。それは悲しいですが、どうしようもないことです。『忘れたらだめよ』などと責められることは、患者さんにとってはとてもつらいことです。
認知症になっても、自尊心はあるのですから。
カレンダーなど記憶を助ける物品を利用したり、家族が少しサポートすることで、患者さんが少しでもできるように、やってみようと思えるように働きかけてゆくことが重要です。
さらに認知症が進んでくると、残念ながらできることはさらに減ってしまいます。
そうなってくると本人の『心地よさ』『快適さ』を考えたかかわり方が重要になってきます。患者さんはどのような飲み物が好きなのか、どのような寝具が気に入っているのかなど、まさに家族だからこそできるかかわりがあると思います。
最後に、認知症が進むとコミュニケーションが難しくなってきます。
会話が難しいのだから、話しかけてもしょうがない、と放っておけば患者さんはベッドの上に居るだけのようになってしまいます。しかし、体に触れ言葉をかけてみると、驚くほど豊かな返答(言葉に限らず、表情や動作でも)が返ってくることがあります。
ぜひ積極的にコミュニケーションをとろうとしてみていただきたいです。」
●わかりました。特に家族に患者がいる場合には、「対処方法を心得ること」が大切ですね。(山田)
4.まとめ
ひとくちに「認知症」といっても、様々な症状やタイプがありますね。
私は、より一層、認知症についての理解が深まりました。
CHIC世代の皆様と、私自身のためにも、引き続き、認知症について考えてまいります。
< その②へつづく >
▼ 医療監修
六車 一樹先生〔 Dr. Kazuki Muguruma 〕
広島大学病院 脳神経内科
広島大学医学部医学科卒業。神経内科専門医。趣味は楽器演奏と音楽鑑賞。