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【最新】「認知症」の症状と対処方法・予防について ~その②~
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前回、「認知症には、どのようなものがあるのか?」ということをご紹介しました。
ひと口に「認知症」といっても、症状や進行、治療は様々です。
今回も、広島大学病院 脳神経内科医・六車一樹先生へのインタビューと、医療監修のもと、「認知症」に対する知識と理解を深めるために、情報をお伝えしてまいります。
▼この記事を読んで分かること
◎「アルツハイマー型認知症」の症状について。
◎「アルツハイマー型認知症」の検査や治療について。
◎「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いについて。
この記事を読めば、「アルツハイマー型認知症」についてわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. アルツハイマー型認知症の特徴
人は、誰でも年を重ねると、「もの忘れ」がひどくなります。
しかし、「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」には違いがあります。
今回は、特に「アルツハイマー型認知症」について、六車先生に解説していただきます。
認知症について
前回、「認知症」には、
●アルツハイマー型認知症
●血管性認知症
●レヴィ小体型認知症
●前頭側頭型認知症
があるとご紹介しました。
今回は、その中でも、「アルツハイマー型認知症」について、詳しくお伝えします。
アルツハイマー型認知症とは?
(六車一樹先生):「最も頻度の高い認知症です。近時記憶(数分から数日前など、最近の事柄の記憶)や、見当識(日付・場所・人物などの認識)の障害が主な症状」
とのことです。
アルツハイマー型認知症の「もの忘れ」について
【質問】
「アルツハイマー型認知症」について、症状など、私達が知っておくべきことは何でしょうか?
(ライター:山田)
(六車先生):「認知症による《もの忘れ》とは、老化による『もの忘れ』とは違います。
『老化によるもの忘れ』だと、
●物忘れの自覚がある『最近物忘れがひどくて…』
●体験の一部だけ忘れる
●ヒントで思い出せる
●うっかり忘れる
…といった特徴があります
それに対し、《アルツハイマー型認知症などの認知症》の場合
●もの忘れの自覚が乏しい『私は物忘れないですよ?』
●体験そのものを忘れる
●ヒントがあっても思い出せない
…といった特徴があります。」
●このように、様々な症状があるのですね。
アルツハイマー型認知症の初期段階では、最近のことを忘れることが目立つのだそうです(近時記憶障害)。(山田)
アルツハイマー型認知症の症状
アルツハイマー型認知症の症状は主に、「近時記憶障害」、「見当識障害」などがあげられます。
(六車先生):「アルツハイマー型認知症の初期に出やすい症状であるため、アルツハイマー型認知症を疑う場合に重要な症状になります。
昔の記憶(子供の頃の事柄など)は覚えているのに、最近の事柄を忘れてしまう症状です(今朝、何を食べたか、財布をどこに置いたか、など)。」
(六車先生):「近時記憶障害に続いて生じることが多い症状です。
見当識とは、自分自身が現在置かれている状態(日時・場所・人物の把握など)を理解する能力のことです。
見当識障害では、
●今の年月日や季節などがわからなくなる
●今どこにいるのかがわからなくなる
●家族など親しい人が誰なのかわからなくなる
…といった症状が出現し、生活に大きな影響がでます。」
●症状には、様々なものがあるのですね。六車先生の解説により、より理解することができます。(山田)
2. 治療について
治療法
(六車先生):「症状は、『緩徐進行』(徐々に進行してゆく)で、内服薬による治療法があります。
しかし、疾患の根源を治したり、症状を正常に戻す、つまり、症状を完治させることはできません。」
●なるほど、治療は、進行を遅らせるためのものということになりますね。(山田)
検査について
●もしも、私達が「認知症」の疑いで受診すると、具体的にまず、どのような検査を受けることになりますか?(山田)
(六車先生):「まずは問診でどのような認知症の症状があるのかを伺い、HDS-RやMMSEといった認知症に関する問診のテストを行います。
この結果から、どのような種類の認知機能障害があるのか、その程度がどれくらいかを推し量ります。
さらに、頭部CTやMRIで、それぞれの認知症に特徴的な脳萎縮がないかを調べます(アルツハイマー型認知症の場合、海馬萎縮が目立つ傾向があります)。
さらに脳血流SPECT などの検査も認知症の診断の助けになります。
場合によっては、血液検査や髄液検査といった検体検査も行います。」
HDS-R(長谷川式スケール)/ MMSE(ミニ・メンタルステート試験)
出典:リハプラン マガジン
気をつけること
●質問:ゆるやかに進行していくということですが、(人によっても違うのでしょうが)、見守る家族や、周囲の人は、どのような点に気をつけると良いでしょうか?(山田)
(六車先生):「初期症状(とくに近似記憶障害)があるのかどうか気をつけることでしょうか。
症状はゆっくりと進むため、家族もなれてしまい、ある程度進行しないと気づかれないということもあります。
また、初期の段階では老化による物忘れと区別しづらいことも多いでしょう。
気になったら病院に相談してみるのもよいと思います。」
薬物療法
●「内服薬」については、前回の記事にあった、「コリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン」などでしょうか?
その内服薬では、具体的に、どのような効果が得られますか?(山田)
(六車先生):「認知症の中核的治療薬は、コリンエステラーゼ阻害剤とメマンチンになります。
どちらも《進行をゆっくりにするという効果が主である》と考えていいとおもいます。」
●六車先生、とてもよく理解できました。ありがとうございます。(山田)
3. まとめ
今回は、主に「アルツハイマー型認知症」についてお伝えしました。
最も頻度の高い認知症といわれるだけあり、知識として心得ておくことは、CHIC世代の私達にとって大切なことだと実感します。
次回も、引き続き、「アルツハイマー型認知症」について、考えてまいります。
<その③へつづく>
▼ 医療監修
六車 一樹先生〔 Dr. Kazuki Muguruma 〕 ╱プロフィール
広島大学病院 脳神経内科
広島大学医学部医学科卒業。神経内科専門医。趣味は楽器演奏と音楽鑑賞。