Vol.49_市販薬のトリセツ 〜胃腸薬〜

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加齢によって胃の働きが低下したり、
胃の粘膜が萎縮したり…
CHIC世代にとって、胃痛や胃もたれは
身近な症状かもしれません。
そこで、市販薬のトリセツ第4弾は
「胃腸薬」についてお伝えします。


●胃が痛む原因

胃痛は、胃粘膜を守る防御機能が低下し、胃の粘膜が損傷することで起こります。要因は、暴飲暴食やストレス、喫煙、寝不足・疲労など日々の生活習慣にあることが多く、胃炎や胃潰瘍につながることもあります。また、ピロリ菌感染症など別の病気が原因の場合もあります。空腹時にシクシク痛む、刺すような痛みがある、吐き気・食欲不振…と、症状の現れ方や程度も原因や人により異なります。


●胃腸薬(胃薬)の種類

薬局等で購入できる胃腸薬(胃薬)にも多くの種類があります。胃の運動機能を活発にするものから、消化を助けてくれるもの、胃酸による胃粘膜への刺激から守ってくれるものまで作用するポイントが異なるため、まずはご自身の症状やそこに至った経緯などを薬剤師に相談し、症状にあったものを選びましょう。

胃酸分泌抑制薬:胃酸の分泌を抑制することで胃酸をコントロールし、胃の粘膜が傷つくことを防ぎます。H2ブロッカーと、それよりやや抑制効果の劣るM1ブロッカーの2種類があります。
[症状]胃痛、胸やけ、胃もたれ、むかつき

制酸薬:出過ぎている胃酸を中和することで、胃粘膜への刺激を緩和します。金属イオンが含まれているので、抗生剤などとの飲み合わせには注意が必要です。
[症状]胃痛、胸やけ

胃粘膜保護薬:傷ついてしまった胃の粘膜を守り、傷の修復を助けます。粘膜の代わりとして機能するもの、傷の修復を早めるもの、粘膜の分泌を促すものなどがあります。
[症状]胃痛、むかつき

抗コリン薬:副交感神経に作用し、胃酸分泌を抑制して痛みを和らげます。
[症状]胃痛、胃酸過多

鎮痛鎮痙剤:胃腸の過度な運動や緊張を緩め、痛みや痙攣を和らげます。
[症状]胃痛、胃痙攣

この他、総合胃腸薬には、制酸成分、胃粘膜保護成分、健胃生薬、消化酵素などが総合的に含まれているため、さまざまな胃の症状に効果があります。また、運動、分泌、消化といった胃の機能を促進して、胃を元気にしてくれる健胃生薬もあります。


●胃腸薬と整腸剤の違い

胃腸薬とは、胃や腸の不快な症状を直接鎮めるための薬です。一方、整腸剤は、乱れている腸の環境を整えるための薬です。乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌などを主成分としており、腸内にこれらの菌を補うことで、軟便や便秘を改善へと導いてくれます。


●胃腸薬を服用する際の注意点

胃腸薬は、その性質から服用方法に注意が必要です。胃液の分泌が多すぎる場合に服用する薬は、食間に飲む種類もあります。これは胃の中に食べた物がない方が効き目が良いからです。胃液の分泌が少ない場合は、食後30分以内に服用する場合が多いですが、食前(食事前の30分以内)に服用する種類もあります。添付文書をよく読み、正しく服用しましょう。


●おわりに

加齢に伴い、胃のぜん動運動の低下や、消化酵素、胃酸分泌、胃粘液分泌の減少などが起こりやすくなります。
•適度な運動や気分転換でストレス解消
•糖分、脂肪分、刺激物の少ない食事
•自律神経を整えるための十分な睡眠
を心がけ、胃を健康に保つ生活習慣を心がけてみましょう。なお、慢性的な胃痛や胸焼け、極端な体重減少、薬を使っても症状が続く場合、激しい痛みがある場合は、専門医やかかりつけ薬剤師まで相談しましょう。


薬剤師会_DATA_201910