Vol.46_市販薬のトリセツ〜風邪薬編その①〜

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風邪とは、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、
喉の痛み、咳、たん、発熱などの症状の総称。
そのため、風邪薬も
それぞれの症状に対して分かれています。
今回は、風邪薬のトリセツ第1弾として、
薬の種類・薬効について解説します。


●発熱や頭痛、関節痛には?

発熱やそれによる悪寒、頭痛、関節痛、また喉の炎症による痛みには【解熱鎮痛薬】を選びましょう。解熱鎮痛薬は大きく「ステロイド性抗炎症薬」と「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」に分けられ、市販されているのは後者です。脳に直接作用して熱や痛みを抑える「アセトアミノフェン」、古くから使用されている「アスピリン」、それよりも強い鎮痛効果を持つ「イブプロフェン」、消化管から吸収された後に薬として作用していく「ロキソプロフェン」、ピリン系の「イソプロピルアンチピリン」、歯痛・生理痛にも用いられる「エテンザミド」と、6つの有効成分があります。このうち、小さな子どもにも使えるのは「アセトアミノフェン」です。


●咳やたんには?

咳には、コンコンという乾いた咳と、ゴボゴボとたんの絡む湿った咳とがあります。乾いた咳には、咳の中枢に作用して咳そのものを止める【鎮咳薬】を用います。一方、たんの絡む咳には、たんを排出しやすくする【去痰薬】が有効です。鎮咳・去痰の作用が一緒になった薬もあります。なお、市販薬には眠気や便秘を誘発しやすい「コデイン」という成分が使われていることが多いため、これらが気になる方には【漢方薬】という選択肢もあります。2019年以降、「コデイン」が含まれた薬は12歳未満には使えません。また、薬を使うほどではない咳やたんにはトローチやドロップも効果的ですが、他の薬との併用に注意が必要な場合もあります。


●くしゃみ、鼻水には?

鼻の症状には、アレルギー反応や炎症を引き起こす「ヒスタミン」という体内物質をブロックし、くしゃみや鼻水を鎮める【抗ヒスタミン薬】を用います。抗ヒスタミン薬には、症状を抑える効果が高い一方、副作用も起こりやすい「第一世代抗ヒスタミン薬」と、症状を抑える効果がやや弱く、副作用も出づらい「第二世代抗ヒスタミン薬」とがあります。また、有効成分の中には副交感神経の働きを抑える抗コリン作用があり、緑内障や前立腺肥大の方は症状悪化の恐れがあるため注意が必要です。この他、鼻水や鼻づまりといった局所的な症状であれば【鼻スプレー】や、前述の様な副作用を避けたい方には【漢方薬】もオススメです。


●総合感冒薬の特徴は?

風邪で【総合感冒薬】を服用したことのある方は多いのではないでしょうか。市販の総合感冒薬にはさまざまな風邪症状を抑えるために、先に述べた解熱鎮痛薬、鎮咳薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬などの成分が配合されています。また、眠気や倦怠感を改善する目的でカフェインも入っています。したがって、複数の症状が出ている場合、総合感冒薬は有用と言えます。成分量は薬によって異なるため、特に辛い症状の有効成分が多く含まれているものを選びましょう。ただ、複数の風邪薬を飲むと成分が重複し、副作用のリスクが高まります。さらに、不要な成分を取り入れる可能性があり、それぞれの成分も少ないため高い効果も期待できません。


●おわりに

医師が処方する薬と異なり、市販薬は一般の方が自己判断で購入できるため、効き方も副作用も強くありません。しかし、薬である以上副作用はあり、持病や飲み合わせによっては症状を悪化させる恐れもあります。自分の症状に合う風邪薬はどれなのか、また今飲んでいる薬との飲み合わせに問題はないのかなど、風邪薬を選ぶ際には気軽に薬剤師に相談してみましょう。風邪薬はウイルスを除去するのではなく、症状を和らげることを目的にしています。そして数日経っても症状が改善しなければ、早めに医療機関を受診してください。次回は、こうした風邪薬の危険性についてお伝えします。


薬剤師会_DATA_201910