Vol.45_今さら聞けない!ワクチンのはなし

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コロナ禍で、「ワクチン」という言葉を
耳にする機会が増えました。
しかし、ワクチンには新型コロナワクチン以外にも
多くの種類があります。
今回は、特にCHIC世代に知っておいてほしい
ワクチンについてです。


●そもそも「ワクチン」って?

私たちの体には、感染症にかかると体内で抗体が作られ、再び入ってきた病原体を攻撃する仕組みがあります。この仕組みを「免疫」と言い、免疫の仕組みを利用したのが「ワクチン」です。ワクチンを接種することで、あらかじめ病原体に対する免疫を作り出し、仮に病原体が入ってきても病気になりにくくする、あるいは症状を軽くすることができます。
ワクチンにはいくつかタイプがあります。

生ワクチン:病原体の毒性を弱くしたタイプ。弱毒化した病原体が体内で増殖し免疫を作るため、効果が高いとされます。
不活化ワクチン:特殊処理により毒性をなくしたタイプ。病原体が体内で増殖することがありませんが、複数回接種が必要。
トキソイド:病原体の毒素だけを取り出し無毒化したタイプ。複数回接種が必要。
mRNAワクチン:新型コロナワクチンにも用いられたタイプ。ウイルス特有のタンパク質を産生させ、それに対する免疫ができるのを期待します。

また、ワクチンには少なからず副反応が起きることがあります。だるさ、発熱、接種部位の痛み・腫れなどが一般的なものですが、多くは1日〜3日で自然に軽快します。


●「ワクチン」の役割と現状

ワクチンの接種(=予防接種)には、「個人を守る」「社会を守る」という2つの役割があります。ワクチンは、接種した本人の感染症の発症や重症化の予防だけでなく、周りの身近な人への感染を防ぎます。こうした輪が社会全体へ広がっていくことで、集団の中に感染者が出ても流行を阻止することができます。これを「集団免疫」と呼びます。さらに、予防接種を受けたくても受けられない人を守ることにもつながります。
一方で、海外に比べ承認までに長い期間がかかったり、海外では無料の定期接種のワクチンが、日本ではそうでなかったりと、日本はワクチン後進国と呼ばれています。日本での予防接種は、【定期接種】(定められた年齢・期間の接種であれば無料)と【任意接種】(自己負担)の2種類に分かれています。


●特に気をつけておきたい、病気とワクチンについて

そんな予防接種ですが、特にCHIC世代の方は、以下の病気について知ることと、ワクチンの接種が推奨されています。

【肺炎球菌】肺炎は日本人の死因の第3位です。その原因菌として最も多いのが肺炎球菌です。令和5年度までは、65、70、75、80、85、90、95、100歳になる方と、60歳以上で所定の障害のある方は定期接種です。
【帯状疱疹】子どもの頃に感染した水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。発症すると皮膚だけでなく神経にも炎症を起こし、痛みを伴います。予防接種は50歳以上から可能で、任意接種です。
【インフルエンザ】非常に感染力が高く、38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの症状があります。高齢の場合、肺炎など重症化する恐れもあります。65歳以上の方と、60歳以上で所定の障害のある方は定期接種です。また、任意接種で誰でも受けることができます。なお、インフルエンザワクチンについては、鼻の中に噴霧するタイプを接種できるようになりました。


●おわりに

ワクチンには、任意接種でも自治体から費用の助成がある場合があります。まずはお住まいの地域がどうかを確認しましょう。また、不明なこと、心配なことは、かかりつけ医・かかりつけ薬剤師に気軽に相談してみましょう。なお、ワクチンを接種すると「おくすり手帳」にシールが貼られるため、接種間隔を把握する上でも役に立ちます。接種の際には忘れずにお持ちください。


薬剤師会_DATA_201910