Vol.37_セルフメディケーションについて②

薬剤師会レポート_37

前回お伝えした「セルフメディケーション」について。
今回は、まずその基本となる「セルフケア」のポイントと、
「セルフメディケーション税制」について詳しくおさらいしてみましょう。


●セルフメディケーションって?

「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。平均寿命が延び、生活習慣病などが問題になっている現代において注目されている考え方で、これを実践することで

・日々の健康管理の習慣が身につく
・医療や薬の知識が身につく
・医療機関を受診する手間と時間の削減
・通院が減ることで医療費の節約

といったメリットが考えられます。

●まずはセルフケアを実践

身体の不調や健康への不安を感じたときだけでなく、健やかな毎日を送るためには、主体的な「セルフケア」の実践が大切です。「日本OTC医薬品協会」では、このセルフケアを7本の柱に分けています。

① 健康に関する正しい情報
② 健診・検診の受診
③ 衛生管理・口腔ケア
④ 禁煙
⑤ 適度な運動・睡眠
⑥ 適切な食生活
⑦ OTC医薬品の適切な使用

適度な運動や睡眠、バランスのとれた食事、禁煙などは健康的な生活を送る指針としてよく耳にしますが、これらに加えて、相談できる医師やかかりつけの薬剤師を持つことで健康への理解度を高め、またOTC医薬品を使うことで、軽度な身体の不調は自分で手当することができます。なお、OTC医薬品とは、薬局やドラッグストアで処方箋なしで買えるいわゆる市販薬のことで、セルフメディケーションで使用する薬はOTC医薬品ということになります。

●セルフメディケーション税制

「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」は、対象となるOTC医薬品を年間1万2000円を超えて購入した際に、1万2000円を超えた分の金額(※1)について、確定申告により所得控除を受けることができる仕組みです。対象となるのは、所得税や住民税を納めていて、健康診断や予防接種、メタボ健診、がん検診などを受けている方。また、通常の医療費控除制度とセルフメディケーション税制は選択制となるため、減税額をそれぞれ試算した上で、金額の大きい方を自分で選択します。市販薬によるセルフメディケーション中心のご家庭であれば、ぜひ活用しておきたい制度です。対象となるOTC医薬品の品目名は、厚生労働省のホームページで確認できる他、パッケージに写真のようなマークが表示(※2)されています。また、確定申告の際には該当商品を購入したことを示す領収書(レシート)も必要となるため、捨てずに保管しておきましょう。税制について、詳しくは下記QRコード(厚生労働省HP)をご覧ください。

(※1)上限金額:8万8000円/生計が同じ家族分も含まれます
(※2)マークの掲載は義務化/されているわけではありません

●かかりつけ薬剤師の活用

薬選びには「症状に合う薬を服用する」「生活に合う薬を選ぶ」「体質や服薬状況に応じた薬を選ぶ」など、いくつかのポイントがあります。セルフメディケーションはたしかに自らが取り組むものですが、こうした薬選びのお手伝いをするのが薬剤師です。ときには、市販薬を使うべきか医療機関を受診すべきか迷うこともあるでしょう。そんな場合でも、かかりつけの薬局や薬剤師を持つことで、専門的な知識を持つ薬剤師からのアドバイスを受けられます。ぜひあなたのセルフメディケーションにお近くの薬局・薬剤師を活用してみてください。


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薬剤師会_DATA_201910