Vol.36_セルフメディケーションについて

薬剤師会レポート_36

世界有数の長寿国である現代の日本において、日々をいかに健康に
過ごしていけるかが問われています。そこでいま注目されているのが
「セルフメディケーション」です。今回は活用のポイントなどをお伝えします。


●セルフメディケーションって?

「セルフメディケーション」とは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」です。平均寿命が延び、生活習慣病などが問題になっている現代において注目されている考え方で、これを実践することで

・日々の健康管理の習慣が身につく
・医療や薬の知識が身につく
・医療機関を受診する手間と時間の削減
・通院が減ることで医療費の節約

といったメリットが考えられます。

●実践方法は?

日頃からの健康管理により、健やかな生活を送ることがセルフメディケーションの重要な目的です。適度な運動、バランスの取れた食事、十分な睡眠、血圧測定や健康診断受診といった継続的な体調管理を日常生活で意識しましょう。
また、風邪や腹痛、軽いケガなど軽度な身体の不調の手当てには市販薬を使用したり、症状の改善が思わしくない場合には医療機関を受診したりと、適宜判断することも大切です。

●薬剤師によるサポートも

セルフメディケーションは自らが取り組むことであると述べましたが、そのお手伝いをするのが薬剤師です。頭痛や腹痛、発熱などは日常によく起こる症状ですが、それらの症状の裏には重大な病気が潜んでいることもあります。また、不十分な知識によるセルフメディケーションでは、逆に悪い結果を招くことも考えられます。市販薬を使用すべきか、医療機関を受診すべきか、判断に迷ったら正確な知識を持つ薬剤師に相談してみましょう。
そのため「かかりつけ薬剤師」を持つことも大切です。かかりつけの薬局や薬剤師を決めておけば、自分の体質に合った適切なアドバイスを受けられます。合わせて、医師から処方される薬との重複利用による悪影響や飲み合わせによる副作用も防げます。薬剤師に相談する際は「どのような症状か」「どの程度の強さか」「いつからなのか」「突然なのか徐々になのか」「時間の経過に伴いどうなってきたのか」「他にも症状があるのか」などを伝えると判断がよりスムーズになります。

●セルフメディケーション税制

2017年から、特定の医薬品購入に対する「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」がスタートしています。対象となるOTC医薬品(市販薬)を年間1万2000円を超えて購入した際に、1万2000円を超えた部分の金額(※)について、確定申告により所得控除を受けることができます。対象となるのは、所得税や住民税を納めていて、健康診断や予防接種、メタボ健診、がん検診などを受けている方です。また、通常の医療費控除制度とセルフメディケーション税制は選択制となるため、減税額をそれぞれ試算した上で、金額の大きい方を自分で選択することになります。該当商品を購入したことを示す領収書(レシート)も捨てずに保管しておきましょう。税制について、詳しくは下記QRコード(厚生労働省:セルフメディケーション税制について)をご覧ください。

●おわりに

高齢になると、内臓機能が低下して薬の代謝・排泄が遅くなるため、薬の作用が強く現れるおそれがあります。薬を購入する際は現在使用しているすべての薬を薬剤師に伝え、そのため「お薬手帳」の活用も心がけてください。

(※)上限金額:8万8000円/生計を一にしている家族分も含まれます


QRコード


薬剤師会_DATA_201910