山田:ちなみに、親知らずがその人の噛み合わせの要だったりするケースもあるので、歯並びが悪い方は親知らずの抜歯にも気をつけていたりします。
木村:そうですか。お互いの業界で機器による技術進歩がめざましいですね。もう少し詳しく教えていただけますか。
山田:はい。「インビザライン」に使用する3D光学スキャナーでは「iTero Lumina」という最新機器を導入しています。従来の印象材を使った型取りが不要なので、患者さんの負担が少なく、スキャンするだけで精密な歯型画像を確認できます。口腔内カメラ内蔵なので口の中をわざわざ撮影する必要もなくなりました。他にも矯正の機器ではないですが、「オーラルック」という装置を導入しました。こちらは口腔粘膜疾患が口内炎なのか舌がんの疑いがあるのかなどを蛍光観察できるものです。つまり悪性のものはスクリーニングできるため、視診や触診の補助ツールとして役立っています。木村さんの業界はいかがですか?
木村:人工衛星を利用した測位システム「GNSS」や、電波によって相対的な位置と地図を同時構築する「SLAM」など、測量の精度は上がり続けています。以前は点群でしか表示されなかったものがマッピングになってより鮮明にわかるようにもなりました。それから3Dドローンを導入したのも特筆すべき点でしょうか。災害時、当社のような会社はすぐに現場に向かい、測量しなければなりません。測量をしないとその後の復旧のための設計ができないからです。でも、実際災害が起こった現場はかなり危ない状況です。ですからそこにドローンがあることで、危険な場所に立つことなく、スタッフの安全を守りながら測量することができます。なお、3Dドローンは崩れかけている途中でもデータを取得でき、どの程度土砂に埋まっているか、あとどれくらいで河川のオーバーフローが起こりそうかということまで見ることができます。
山田:すごいですね。ちなみに地震によって地形がズレた場合、土地の境界はどうなるんですか?
木村:災害の場合、そういうケースもあります。地震による地殻変動で土地に歪みが生じると、国土地理院からこの一帯を何メートル補正してください、などの指示が出るんですよ。これをセミ・ダイナミック補正と言います。
山田:なるほど。そういう場合にもちゃんと基準があるんですね。実は歯並びにも歯科的に理想とされる基準があります。前歯は少し斜めになっているのが、下顎をスムーズに滑走させるためには良いんです。ですが患者さんの中には垂直な前歯を理想とする方もいらっしゃいます。このあたりは患者さんとしっかり話し合いながら納得していただけるゴールを一緒に探していくことになります。
木村:その点、土地家屋調査士の境界は中立の立場でしか調査できません。公法上の境界といい境界は決まっているものなので、土地家屋調査士にできるのは境界を示すこと。依頼者の味方ではないんですね。ただ、その中でもきちんとした説明と取るべき対策をお伝えすることで、多くの方は納得していただけます。
山田:寄り添い、話を聞き、理解することはどの業界でも大切なんですね。木村さん、本日はありがとうございました。
(※)マウスピース型の装置を使用した矯正治療。口腔内3Dスキャナーによってオーダーメイドでアライナーを作製し、装着。歯が移動していくのに合わせて新しいアライナーに取り替えていく。自由診療。詳しくはコチラからマンガで読めます。
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