姿勢と呼吸
南青山デンタルクリニック広島医院の山田院長が、
各業界のスペシャリストと対談するレポート企画。

今回は、Mit's Yoga倶楽部代表の
石井みつこさんをお招きして、
ヨガに大切な姿勢と呼吸、
そしてこれらと歯並びの関係について
語っていただきました。
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口呼吸の人は、呼吸するたび
歯並びが悪い方向へ矯正されています。

山田 英治院長


山田院長(以下山田):私も一度体験させていただきましたが、石井さんが考案された「ミッツのチューブヨガ®」について詳しく聞かせてください。
石井代表(以下石井):はい。ミッツのチューブヨガ®は、独自開発したゴムチューブを使って行うヨガで、グリップの位置を変えることで強度、つまり負荷を調整できます。チューブが動きをアシストしてくれるので、初心者や体がかたい方でも、瞑想・ストレッチ・体幹&筋トレを同時に行うことが可能です。
山田:私はしっかり体を使った感覚と終わった時の心の落ち着きが印象的でした。このメソッドに至るきっかけなどはあったんですか。
石井:鍼や整体で改善しなかった持病の腰痛が、産後ヨガに初参加したことで劇的に改善したことがきっかけでした。その後インストラクターとなり、産後の骨盤矯正や産後太り解消といった悩みの声を多く聞き、チューブヨガの開発を行いました。広島大学での立証実験では、肩こりや姿勢の改善に効果があることが証明されました。
山田:いま、姿勢改善という言葉が出てきましたが、実は姿勢は腰痛や肩こりだけでなく、歯並びとも密接に関係しているんです。
石井:どういうことですか?
山田:例えば猫背の場合、首が前に出て顎の位置が下がってしまうため、口で呼吸することが増え、その結果歯並びが悪くなったり顎関節症になる恐れもあります。さらに舌の位置も後下方になり、これにより舌根が気道を塞いでしまう睡眠時無呼吸症候群になる可能性も生じます。当院では、食いしばりを防ぐ「西村式スプリント」や睡眠時無呼吸症候群用の「スリープスプリント」も作製しますが、いずれも顎の位置のセッティングがとても大事になってきます。
石井:猫背が呼吸しづらいことは知っていましたが、姿勢、呼吸、お口はそれぞれに関係しあっているんですね。
山田:はい。最近はスマホやパソコンの見過ぎによるストレートネックで猫背になる人も増えているようですね。だからヨガで姿勢が良くなることは、普段から鼻呼吸しやすい顎の位置に変化してくるのでとても良いことだと思います。
石井:呼吸で言えば、ヨガにはいろんな呼吸法があります。伝統的なのは胸式と腹式を組み合わせる「完全呼吸法」で、体の内側から内臓を刺激することで腸活が促され、免疫力の向上が期待できます。また深く呼吸して吐く息を意識することで精神的にもリラックスできます。鼻は呼吸するために備わっている器官ですし、鼻というフィルターを通して空気を吸い込むことで菌もシャットアウトできるので、鼻呼吸は大切ですよね。
山田:そうですね。鼻を通すと空気も加湿されて肺に届くので良いですね。
石井:またヨガでは、呼吸(=息)は自らの心を表すものと言われています。呼吸は、速く、遅く、深く、浅くなど、自律神経の中で唯一コントロールできます。自分を在りたい方向へ導いていけるこのマインドフルネスこそ、ヨガが動く瞑想と呼ばれる所以です。まず体の声を聴き、体と繋がっている心が喜ぶ方向へ導いてあげる。そうして真の自分で輝き続ける。皆さんをそう導きたいという思いで活動を続けています。ところで、口呼吸と歯並びの悪さについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
山田:はい。舌は本来、上顎に付いているのが正常です。特にお子さんの場合など、舌がこの位置にあることで口周りの筋肉とのバランスが取れ、歯並びも正常に成長していきます。一方、口呼吸だと低位舌と呼ばれる舌が下がった状態となり、口周りの筋肉とのバランスが取れないことから歯並びがガタガタになったり出っ歯になったりします。ですから口呼吸の場合、呼吸するたび歯を悪い方向へ矯正しているとさえ言えます。


年齢は〝姿勢〟に現れます。
美しい姿勢のためには筋力が必要です。

石井 みつこ代表


石井:悪くなった歯並びは何歳からでも矯正することができるのでしょうか?
山田:できます。今は透明なマウスピースを使った矯正(※)も主流になってきています。ただ、歯列矯正には12歳頃までに行う1期治療と、それ以降の年齢で行う2期治療があり、骨格も正しく成長させる1期治療で下地を整えておくことは大切だと考えています。また、高齢の方でも歯周病などで歯を失うと歯並びは変わってきてしまいます。こうした場合もインプラントなど何らかの方法で失った歯を補った方が良いでしょう。
石井:確かに、高齢でもお元気な方は、よく食べるから歯もしっかりされている印象がありますね。私のスクールは40代以上の方が多いですが、ヨガも年齢問わずできるのが魅力です。体の変化がある女性ですが、どのライフステージの方も始めることができます。そしてみなさん共通しているのが、体の歪みを整えたい、お腹周りを引き締めたいという希望です。年齢は姿勢に現れますが、若々しく美しい姿勢には筋力が必要だということもぜひ覚えておいてほしいですね。
山田:歯科からすると、歯をきちんとメンテナンスされている方と総入れ歯の方では、見た目年齢が大きく違って見えるということがあります。総入れ歯になると顎の位置も定まらないので、姿勢にとっても良くないと思われます。石井さんは美しい姿勢のために行っていることはありますか?
石井:脚は組まない、目線は真正面に。見られていることを意識する、でしょうか。あと、チューブヨガをすると100%良くなります(笑)。健康で若々しい姿勢と、心地よい呼吸。これによって自然と溢れる笑顔が免疫力アップへの第一歩です。ぜひみなさんにも参加していただきたいですね。
山田:私の方も、脱マスクで矯正の相談をされる方が増えています。元気に笑顔でコロナ後を過ごしていくために、歯並びが気になる方は早めに相談いただきたいですね。


(※)アライナー(マウスピース型の矯正装置)を使用した矯正治療。口腔内3Dスキャナーによってオーダーメイドでアライナーを作製し、装着。歯が移動していくのに合わせて新しいアライナーに取り替えていく。自由診療。詳しくはコチラからマンガで読めます。




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