歌い手と口腔ケア

歌い手と口腔ケア
南青山デンタルクリニック広島医院の山田院長が、
各業界のスペシャリストと対談するレポート企画。

今回は、地元広島で
ジャンルにとらわれない音楽活動を続ける
森岡圭子さんをお招きして、
歌い手としても気になる口腔ケアや
審美歯科について語っていただきました。
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前歯の噛み合わせが悪いと、さ行などの
歯音がうまく発音できなかったりします

山田 英治院長


森岡さん(以下森岡):私、結構食いしん坊で(笑)口の中をヤケドすることが多いんですが、これって歯医者で治せるんですか?
山田院長(以下山田):さすがにヤケドは口腔用の軟膏や自然治癒に頼るしかないですね。口内炎はできたりしますか?
森岡:年に何回か口内炎はできますね。歌うときに痛みを伴ってしまいます。
山田:口内炎は体力が落ち、免疫力が低下するとできやすいと言われています。
森岡:それが歯周病につながることも?
山田:はい。実はほとんどの人の口の中に歯周病菌はいて、歯周病は免疫力が落ちたときに発症しやすくなります。体調が悪くなると歯茎の腫れや出血も起こったりします。特に甘い物が好きな方は糖分を摂りすぎの傾向があり、それが血糖値を上げ、血管が脆くなり、破裂つまり出血しやすくなります。だからこうした場合はまず食生活の改善が必要になってきますね。
森岡:そうなんですね。私は食いしん坊ですが、食事のバランスには気をつけているのでその点は少し安心しました。
山田:ところで、森岡さんは普段どんなボイストレーニングをしているんですか?
森岡:悲しい歌や元気な歌、歌にもいろいろありますが、どれも誰かに届けるために歌うものですから、小さな声でも届くように軌道を大きく広げ、口の中も広げることを意識した発声練習をしています。
山田:口呼吸になると舌が後ろに下がってしまい、軌道を塞いでしまうので発音がしにくくなります。これを治すために「あいうべ体操」などのトレーニングがありますが、歌うという動作は舌も口周りの筋肉も使うので、自然と通りやすい軌道を獲得できているかもしれないですね。
森岡:それと、発声のトレーニングをしていると、風邪をひいて喉を痛めることもあまりないような気がします。
山田:今はみなさん人前でマスクをすることが多いですが、歌手として人前に立たれる森岡さんは「見られる」ことを意識しますか?
森岡:それは確かにありますね。ただ、本番になると気にならなくなります(笑)。私は主にジャズを歌いますが、英語の発音にも一時期ナーバスになったことがあります。でも今はそれも個性かなと割り切っています。歯並びもそうじゃないですか?
山田:そうですね。ただそれをとてもコンプレックスに感じている方もいますし、歯磨きが不十分で虫歯や歯周病になる可能性や噛み合わせの悪さによる様々な弊害も起こりうるんです。特に奥歯は噛んでいても前歯が噛み合っていない方というのは、さ行などの歯音が発音しにくかったりしますから、人前で話す方、歌う方は治しておいた方がいいと思っています。
森岡:それはどうやって治すんですか?
山田:歯列矯正を行ないます。治療期間は程度にもよりますが、だいたい1年半〜2年くらいでしょうか。
森岡:年齢は関係ないんですか?
山田:はい。今はご年配の方も積極的に矯正をされる方が増えましたね。「インビザライン」(※)というマウスピース型の矯正装置である程度の歯並びの悪さなら治していけます。取り外しが可能なので、話す機会や歌う機会が多い方にも向いていると思いますよ。


歌は聴いている誰かに届けるものだから
そのための発声練習は欠かしませんね

森岡 圭子さん


森岡:ところで、私はコロナ禍で実際のライブができない間に配信ライブを始め、今もリアルと配信の両方を行なっています。配信を見られて実際のライブに足を運んでくださる方もいてとてもありがたいです。歌って、生きる上で絶対に必要なものではないかもしれませんが、それでもライブって良いよね、私の歌が聴けて嬉しいと言ってもらえると、喜びもひとしおです。山田先生のクリニックでは、コロナ禍での変化はありますか?
山田:今でこそコロナ前に戻りつつありますが、外出を避け、定期メンテナンスを控える方が多くいらっしゃいました。1〜2年ぶりのメンテナンスだと、セルフケアができている場合はいいのですが、それが不十分だと歯並びが戻ってしまっていたり、虫歯ができていたりというケースもありました。だから定期的にメンテナンスに通う方が、結果的に歯医者に通う回数を減らせますよとお伝えしています。歯医者って苦手なイメージを持たれがちですから(笑)。だからどんなケースの診察でも、普段からまずは患者さんに笑顔で帰っていただくことを一番に考えています。
森岡:笑顔。私が心がけていることもまさしくそうですね。音楽の場でも飲食の場でも、自分自身も笑顔でいて、お客さんも自然と笑顔になれれば最高ですね。
山田:いいですね。そうした中、2023年の活動で目標にしていることはありますか?
森岡:今、歌う場所はライブハウスやホールのステージがほとんどですが、例えば宮島口のターミナルにある「港ピアノ」を奏でながら歌ったり、病院や施設、幼稚園や保育園でジャンルを問わず歌ってみたいと考えています。私にとっては挑戦になりますが、そこで新たな発見があるかもしれないので、とてもワクワクしています。
山田:素敵です。私も先頃、クリニックに「ハイフ」という小顔効果が期待できる美容機器を取り入れました。歯医者でハイフを受けられることが、定期メンテナンスに来るモチベーションになってもらえればという思いからです。また、近年は顎関節症についても力を入れていて、食いしばりによって筋肉が緊張する方も多いことから、これを改善させるための「ボトックス」についても知識を深めていきたいと考えています。
森岡:健康と美容、両方で患者さんをサポートされるのですね。
山田:はい。お互い新たなことに挑戦する素晴らしい2023年にしていきましょう。


(※)アライナー(マウスピース型の矯正装置)を使用した矯正治療。口腔内3Dスキャナーによってオーダーメイドでアライナーを作製し、装着。歯が移動していくのに合わせて新しいアライナーに取り替えていく。自由診療。詳しくはコチラからマンガで読めます。




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