山田:当院では、インビザラインなどマウスピース矯正(※2)を行っていますが、人はコンプレックスがなくなると心にも負の要素がなくなると実感しています。その点、TMには美容的な効果はあるんでしょうか。
末田:若返り(アンチエイジング)のカギとされているのがテロメアという寿命遺伝子で、テロメアから分泌されるテラメラーゼという酵素が細胞を甦らせると言われます。TM実践中は、このテラメラーゼ分泌が活性化する結果、寿命が延びるとされています。
山田:すごいですね。老化についての歯科的な話ですが、歯がないと口からの刺激がないので認知症になりやすいとされています。寝たきりの方でも、総義歯を作ったことで少し状態が良くなったという例もあります。こうしたことから現在は医療分野でも口腔衛生が見直され、噛むことが脳の刺激や健康に繋がっていると知られるようになりました。食べ物を一口30回噛もうという「噛ミング30運動」というものもあります。もちろんこれは継続していくことが大事ですが、TMも地道に続けることが大事ですか。
末田:はい。瞑想と聞くとスピリチュアルなイメージを持たれがちですが、TMはメンタルではなくフィジカルテクニックです。つまり筋トレと同じで続けるだけ効果があり、意気込んでやっても嫌々やっても〝やればいい〟んです。それにしても、山田先生のように幅広い視点と柔軟性を持たれている方は珍しいですね。これからの統合医療には必要なことだと感じています。
山田:ありがとうございます。歯科医療に携わるものとして、技術というのはもちろん大事だと思います。ですが、抜歯ひとつをとっても何分で抜いたかなんてどうでもよくて、患者さんにしたら1本の歯を抜くか抜かないかが大問題なわけです。だからどこまで患者さんに寄り添い、心のケアまでを考えていくかが求められていると思います。
末田:歯科でありながら命全体を見つめていらっしゃるんですね。
山田:そうですね。近年様々な研究が進み、歯科と睡眠時無呼吸症候群の関係や、歯周病と全身疾患などの関係が明確になってきました。特にジンジバリス菌と呼ばれる歯周病菌は、血液に乗って移動し口腔内のみならず身体中に悪影響を与えます。これが糖尿病やアルツハイマーに影響することもわかってきていますので、歯科医もこれまで以上に患者さんの体全体を考えないといけないと感じています。
末田:私たち一人ひとりも普段の口腔ケアをしっかり意識しないといけませんね。TMもコロナ禍で多くの人の意識が内側に向いたことで、これまで以上に興味関心を持たれています。
山田:コロナ禍だからこそ自分自身を見つめ直し、人生を良い方向に変えてもらいたいですね。末田先生、本日はありがとうございました。
(※1)夜用・昼用の2つのスプリント(マウスピース型装置)を用いた顎関節治療。就寝時は食いしばりによる顎・体への負担を軽減し、日中は顎のズレ・歪みを調整していく。
(※2)詳しくはコチラからマンガで読めます。