2065年には約2.6人に1人が65歳以上、
約3.9人に1人が75歳以上になると予測されています。
この超高齢化社会において、
2021年度の要介護(要支援)認定者数は約690万人となり、
公的介護保険制度が始まった2000年度の約256万人から
約2.69倍も増加しています。
家族の誰かに必要になるかもしれない、
そしていつか自分自身が
受ける側になるかもしれない介護について、
広島の現状を
広島県健康福祉局 医療介護保険課に伺いました。
介護保険制度は、介護が必要になっても住み慣れた地域で自立した生活を送れることができるよう、介護を必要とする方を社会全体で支えるための社会保険制度です。40歳になると医療保険加入者は介護保険に加入します。40歳~64歳の特定の疾病が原因の方や、65歳以上の方は、介護や支援が必要と市町から認定を受けられた場合は、介護サービスを利用できます。
利用にあたっては、本人や家族等が、お住まいの市町窓口や最寄りの地域包括支援センターに相談いただくなどし、市町に介護認定の申請をします。
介護認定の結果は、「要支援1・2」から「要介護1~5」または「非該当(自立)」のいずれかとなり、申請日から原則30日以内に市町から通知されます。認定結果に応じて、利用できる介護サービスの種類などが決まります。
「第9期ひろしま高齢者プラン(素案)」によれば、広島県の人口構造は下図のようになり、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年には65歳以上の高齢者人口、介護ニーズの高い85歳以上人口ともにピークを迎え、支え手となる世代は大幅に減少します。
また、厚労省の報告(※1)では令和4年度末で広島県の要介護認定率は19.4%と全国平均並みに推移。65歳以上で2割弱の認定率が75歳以上で約3割、85歳以上だと約6割と、高齢になるにつれ認定率は大きく増加していく傾向にあります。
こうした中、県健康福祉局が行った老後不安に関するアンケート調査(※2)によれば、65歳以上、40歳〜64歳ともに7割以上の方が不安が「ある」と回答し、特に65歳以上では、病気やケガ、経済的負担、介護、認知症といった健康についての不安が理由の上位を占めています。
(※1)厚生労働省「介護保険事業状況報告」より
(※2)広島県健康福祉局「地域包括ケアシステムにかかる県民の安心感に関するアンケート調査」(令和5年度)より
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護など自宅で利用できるもの、通所介護、通所リハビリテーションなど施設への通い、短期入所生活介護など施設への短期間の泊まりにより利用できるもの、福祉用具貸与・購入、住宅改修など生活環境を整えるもの、介護老人福祉施設など施設への入所により利用できるものなど様々なサービスがあります。
サービスの利用にあたり、利用者や家族の状況や意向に応じて作成される介護サービス計画に基づき利用し、介護サービス費用の1割(2割または3割)を負担します。
介護保険の目的は、尊厳を保持し、能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援することです。住み慣れた地域で最後まで自分らしく暮らすために、介護サービスはあります。こうしたサービスの利用方法や、高齢者についての様々な相談ができる「地域包括支援センター」が各市町にあります。
まずは介護の悩みは抱え込まずに気軽に相談し、専門家に任せられることは頼ってみてください。
2025年には約700万人もの65歳以上の高齢者がいます。そのうち約5人に1人が認知症になると見込まれています。認知症はもはや誰もが関わる可能性のある身近な病気になっています。そのため患者さんと接する際、〇〇のような症状を持つ「認知症の方」という色眼鏡で見てしまいがちです。しかし、患者さんもそれぞれの人格や人生を持っています。認知症の患者さんと向き合う際は、その人自身を尊重し、生活や喜びにも目を向けることが大切だと考えます。
介護の現場では日常生活の支援において様々な工夫が必要です。患者さんそれぞれに個性があるため、アプローチに絶対の正解はありません。根気強く、心から患者さんのことを思って接していくことで、その方にとっての正解を少しずつ見つけていきます。
例えば、食事の際、品数が多いと混乱して、何を食べたら良いのか分からなくなってしまう患者さんもいらっしゃいます。そのような方には、食事を1品ずつ提供して、ご自身で食べていただくように工夫しています。安易に多くのことを介助するのではなく、患者さんの機能を維持するため、ご自身でできることはしていただくように心がけています。
また、認知症は最近の出来事から忘れていく傾向なのですが、子供の頃の記憶はよく覚えている方が多いです。忘れていくことに不安を覚える患者さんもたくさんいらっしゃいます。そこで、患者さんに昔やってきたことや頑張ってきたことについて質問をすると、その頃を思い出してもらうことで自信が湧き上がり、不安が和らぐこともあります。
それぞれの患者さんにあったアプローチを見つけていくために、私は患者さんと目線を合わせて話しかけることを常に意識しています。注意力に障害を抱えている患者さんも多いので、目線を合わせることで自分に問いかけていると意識させることが大切なのです。
在宅介護では、常に認知症のご家族と向き合わなければならず、大変な労力を要します。ご家族だからこそ「言えばわかる」と期待してしまうため、必要以上に苛立ってしまうことも増えるでしょう。少しでもそのような負担を軽減し、ご家族と良い感情で向き合うためにも、家族間での交代やデイサービスなど、外部からの支援を受けながら、息抜きの時間を作ることが、より良いケアに繋がると考えます。
最近では、認知症のことを良く知る「認知症サポーター」を地域の方の中から育成し、町ぐるみで認知症患者さんをサポートするための取り組みが進んでいます。ナカムラ病院においても、認知症について適正な医療や介護が受けられていない方を支援する「認知症初期集中支援チーム(オレンジチーム)」や、認知症について正しい知識を楽しく知っていただくための「認知症カフェ」などの取り組みを行っています。患者さんを含めた、地域のすべての皆さまが安心して幸せに齢を重ねていける社会=幸齢社会を目指して、積極的に支援活動を続けておりますので、「介護」・「認知症」でお困りの方は是非、一度当院へお問い合わせください。