いつまでも愛される人になるために CHIC的 大人のマナー

CHIC的-大人のマナー_bnr-top
会社での地位も上がり、子どもの結婚や
その他冠婚葬祭の機会も増えてくるCHIC世代。
仕事・プライベート問わずさまざまな場面で
必ず必要になる「マナー」ですが、
「よくわからないままなんとなくやっている」
という方も多いのでは。

今回は、そんな読者に向けて
最低限心得ておきたいマナー・所作について
Annfreege(アンフリージェ)の野村 明未さんに
解説していただきました。
自分を磨き、いつまでも愛される大人になりましょう。


アクティブシニアの“マナーアンケート”

Q1


Q2


Q3


Q4


思わずヒヤリ…私の「マナー失敗談」

●子供の七五三の日、子供はしっかり、正装だったのに、親は私服で神社にいってしまったこと。(ふふ)

●以前働いていた職場内何名かで高級なお店へ行った際、出てきたお魚が見たことなく複雑で、他の方のを真似しながら食べましたが、よく分からずほぼ残してしまいました…。端っこの席で良かったものの(泣)。(aya26)

●めったにしないオシャレをして出かけ、服装が乱れていたのに気づかず、見知らぬ女性に直されました。(たくちゃん)

●食事に行った際に、ワイングラスは、注いでもらうときグラスを持ち上げない事、乾杯でグラスを当てない事を知らず後から知り、とても恥ずかしかったです。(HTM)

●急に親戚が亡くなった時に、普段履かない黒い靴を履いたら、靴底が取れてしまいました。次の日、家族の靴を借りてブカブカのままお葬式に参列。日頃から靴のお手入れは大切だと痛感しました…。(ruki)


「特に気になる!」他人のマナー&所作アレコレ

●目上の人なのに敬語を使わず話す同僚や、ママ友。車の割り込みを悪気なく危なくしてくる人。公共の場で子どもをお前と呼び、叱り飛ばす人。品性を疑うし我が子には見せたくない。(かな)

●食事中に、口に食べ物が入っているのに喋る人。咳やくしゃみの際におさえない人。(Vivi)

●店員さんへの暴言。(かれな)

●道を広がって歩いたり、歩きスマホは危ないので見ていて嫌な気持ちに。(ほこ)

●声のボリュームに気を遣えない人が特に気になります。(みき)

●歩きタバコは嫌いです。車の窓からのポイ捨ても許せません。看護師に対して「お姉さん」と呼んでくる中年のおじさん、店じゃないですけど…。(あきこ)

●歩道を通る自転車。歩行者優先と思っていない人が多い。(ぺたくんむ)

●スーパーなどでやたらと商品にさわる人。(kako)

●冠婚葬祭などはある程度みんなキチンとするものです。そうでない場面、例えばレストランで食事の時のスマホや雨の日傘を畳んでからの持ち方や歩き方など普段の何気ないマナーは大切だと思います。 マナーは周りへの気配りです。(姐さん)

●バスの中で、電話がかかってきて、それに応対するところまでは許せるのですが、その後ずっと話し続ける人。しかも小声で話さないところ。運転手さんも注意しないこと。(なおみ)



今さら聞けない-大人のマナー
野村明未さん


#01.マナーはあなたという人間を印象づけるコミュニケーション

 突然ですが「マナー」とは何でしょう。そこには大きな3つの意味があります。1つ目は【人に迷惑をかけない】。一人であれば必要ないマナーも、そこに誰かがいることで必要になります。2つ目は【相手を思いやる、尊重する】。目の前の相手のことを考えて行う行動や所作がマナーとなります。この2つは、子どもの頃から親や先生に教わるので、みなさんすぐに思い浮かぶと思います。そして3つ目は【自分という人間を印象づける(好印象を与える)】ということ。印象がよくない人とはコミュニケーションを取りたくないし、話も聞きたくありません。逆に好印象であれば、相手に安心感や信頼感を与え、良好な人間関係を築いていくことができます。つまりマナーとはコミュニケーションそのものなのです。
 年齢を重ねると、周りから指摘されなくなります。だからこそ自分自身で気づくことが大事です。気づかなければ直すこともできませんし、気づいてもこれでよいと思うならそれまでです。社会とは人と人の関係でできあがっているもの。いくつになっても横柄ではなく、好い印象の大人でありたいものです。


#02.ついつい忘れがち・間違えがちなマナー

 食事に関することで言えば、日本料理店等で座敷に上がる際に相手に【お尻を向けて靴を揃える】、料理を口に運ぶとき、空いた手を皿のように食べ物の下に添える【手皿】、大皿料理を取り分ける際にしてしまいがちな【逆さ箸】、会計時に【一人ずつ支払って時間をかける】【「私が払う」というやり取り】などは、ついつい正解だと思い込んでしまいがちな行為です。ただ、郷に入れば郷に従えという諺があるように、もしもその空間で7〜8割の方が良しとしているならば、その行為はマナーになり得るとも言えます。
 とはいえ、正解を知っているのとそうでないのとでは大きな違いがあります。本来のマナーを身に付けることで、より相手への気遣い、おもてなしの気持ちを表すことができ、あなた自身の印象をアップさせることにも繋がります。


#03.美しい所作を身につけるには

 上品に見えていた方が、エレベーターに我先に乗るのを見て残念な気持ちになったことがあります。所作は気持ちから。いくらキレイな動作や美しい言葉づかいを心がけても、人間の内側から出てくるものは隠せません。相手を思いやり笑顔で接することをまずは心に留めましょう。その上で、きちんとした作法はやはり習わなければ身につきません。大人になったいま、改めて作法を学んでみるのもよいと思います。そこから見えてくるもの、新しい発見も期待できます。


#04.コロナ禍だからこそ気をつけておきたいこと

 マスク生活だからこそ、マスクを着けた状態での清潔感や表情は大切です。特に、笑っているのに目元が笑顔になっていない方、真剣な表情で怖い印象を与えてしまいがちな方は注意が必要です。普段よりも増して笑うことを心がけ、ぜひそれを鏡でチェックしてみてください。
 また、オンライン通話もコロナ禍で普及したものの一つです。遠隔でお話ができるのはとても便利ですが、カメラの位置が下からになっていないか、背景に余計なものが映っていないかは確認する必要があります。ちなみにオンライン通話では、主催者が最後に切る(退出する)のがよいと思います。






日常マナー_食事マナー


日常生活


[公共交通機関]

電車やバスで迷惑となるのがリュックです。背負ったままにしないように。また、乗り口に留まらず奥へと詰めましょう。詰める意識があれば、電車の座席もあと1人分座れるかもしれません。自分本位な行動は周りに見られていますよ。

[ショッピング]

例えば、スーパーでお子さんやお孫さんにセルフレジをさせている人を見かけます。空いている時はよいと思いますが、並んでいる時はやめましょう。周りの状況を把握し、人に迷惑をかけないことが大事です。

[訪問するとき、お招きするとき]

「お迎え3歩、お見送り7歩」という言葉があります。3歩前に出てお迎えし、7歩前に出てお見送りするという意味で、それだけ最初と最後の印象(特に最後)は大事ということです。訪問先の玄関を出るとすぐに鍵の閉まる音がしたり、玄関口の電気が消えると寂しいものです。また、車のお見送りもバックミラーからすぐに見えなくなると相手は残念な気持ちになります。エレベーターでのお見送りも、扉が完全に閉まるまでは気を抜かないようにしましょう。
次に訪問時間についてです。ビジネスで企業を訪問するなら5分前は常識ですが、これが個人宅の場合は訪問内容にもよりますが時間ピッタリか、もしくは5分ほど遅れて訪れるようにしましょう。相手はお招きの準備でバタバタしている可能性があるからです。また、昼食や夕食どき、企業であれば始業直後や終業前の訪問もNGです。個人の家に上がることがあらかじめわかっているなら、夏は素足、冬はブーツも避けましょう。
一方、お招きする側であればお客さまには上座を勧めます。この際、きちんとこちらから「奥の席へ」等、上座を勧めると相手は安心します。


食事マナー


[上品に食べるための所作]

日本は箸の文化です。だからこそ箸づかいは美しくしておきたいものです。下品に見られがちなのが【渡し箸】。箸は箸置きに、なければ箸袋で箸置きを作り、それもなければお皿などに斜めに立てかけましょう。
食べ終わったお椀の蓋を逆さに被せたり、お皿の方に顔を近付けるいわゆる【犬食い】も不作法です。お刺身の醤油皿など、手のひらよりも小さいサイズの器は持ち上げてOKと覚えてください。器を持ち上げるのも日本独自の文化なのです。洋食の場合、ナイフが外向きになっていないかにも注意しましょう。ワイングラスは細くなった部分を持ちます。これはワインは温度にデリケートな飲み物だからです。
食事はその人が一番見える場。ヨーロッパでは、「食事をするとその人自身が現れる」、日本では「お里が知れる」という言葉もあるほどです。

[美味しい時間を作るための心づかい]

家族であれ他人であれ、食事の場にあなた以外の誰かがいることで食事のマナーは存在します。食材に、作り手に、そして食卓を囲む同席者に感謝の気持ちを持って楽しく食事をいただくのが大切です。熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちにいただき、作り手に美味しいという感想を言えるとなおよいですね。これは家庭でも同じです。

× タブー行為

食事のマナーはたくさんありますが、中でも気をつけておきたいタブー行為もあります。
まずは音。うどん、日本そばを音を立てて食べるのは日本独自の文化で、海外では下品とされます。パスタやお汁、お茶をすする音、また食器とカトラリーの音にも気を付けましょう。また、政治や宗教、スポーツ(カープファンばかりではないとき)といった会話も避けましょう。骨の付いた魚をひっくり返す行為もついやってしまいがちなタブーです。


ブライダルマナー_葬祭マナー


ブライダルマナー


[子どもの結婚について]

お子さんが結婚する年齢にもなってくるCHIC世代のみなさん。結婚には、お互いが結婚の意思を固めたことの証とする「婚約」、結婚を誓う儀式の「結婚式(挙式)」、そして結婚を報告する「結婚披露宴」があります。その最初のイベントである婚約は結婚の約束を取り交わすことであり、どのような形で執り行うのかは両家で話し合うことが重要です。婚約の方法としては、伝統的な結納を執り行ったり、男性が女性にプロポーズの言葉とともに指輪を贈ったり、両家で会食をしたり等特に決まりはなく様々です。時代背景や家族事情などがあるのでこれが正解というものはないのです。ただ、正式な形を知らないとこれらを選ぶこともできなくなります。

[ご祝儀袋など、結婚のタブー]

結婚のご祝儀袋には、水引が上を向いている結び切りやあわじ結び等を選びます。これらは、「一度きり」という意味が込められています。何度も結び直せる「蝶結び」は出産や入学の祝いにはよいですが、結婚では絶対に避けてください。袋の裏側の折り返しはお祝いの場合は下側が上、お悔やみの場合は上側が上になります。また、家で結納をする場合、緑茶はお出ししないように。「お茶を濁す」「茶々を入れる」とされ嫌われます。お出しするなら桜茶や「よろこぶ」の意味が込められた昆布茶が最適です。
このように、結婚に限らず日本人は様々な場面で縁起を担ぎます。そのためタブーも多く存在します。「色々ありすぎて困る…」という方は一度プロに相談してみるのも手っ取り早い方法かもしれませんね。


葬祭マナー


[通夜、葬儀、告別式では]

まずはコロナ禍でもあるので、参列してよいか確認を行いましょう。弔電や供物、供花などを送る場合も、勝手に送らず事前に葬儀会社に送りたい旨を伝えます。お通夜は本来親族のものなので、長居はすべきではありません。もしも勧められたら食事をいただきましょう。
次に服装も大事です。急な通夜であってもエナメル等光沢のある靴やバッグ、金色の腕時計等は避けてください。アクセサリーは、結婚指輪と真珠のネックレスのみです。悲しみを重ねるという意味から真珠のネックレスを二重にするのもNGで、殺生のイメージがあるためいかにもな牛革や毛皮もNGです。
また、亡くなってすぐ仏様になる浄土真宗では、故人が冥土に行くことがないので「ご冥福をお祈りします」とは言いません。「お悔み申し上げます」や「ご愁傷さまでございます」がよいでしょう。逆にキリスト教では天に召されるので、「お悔やみ申し上げます」は使いません。いまはネットにも情報がありますから、事前に予習をしてから参列するとよいですね。ただ、あまり気にしすぎるよりは、どのような形であれ故人を偲ぶ気持ちが何よりも大切だと思います。
最後に、たとえ90歳を超えて亡くなられたとしても「大往生ですね」といった言葉かけは慎みましょう。あなたから見れば大往生でも、相手にとって故人は大切な家族なのです。

● 香典の常識

香典はみなさんご存知のように新札は入れません。また、悲しみの涙で墨が薄くなるという意味から表書きや名前は薄墨で書くようにしましょう。意味を合わせて覚えると覚えやすいですね。
なお、表書きの書き方は、故人の宗教宗派によって異なります。浄土真宗では「御仏前」、それ以外の宗教では「御霊前」(仏教は「御香典」であればOK)、神道では「御玉串料」「御榊料」など、キリスト教では「御花料」などを使用するのが一般的です。もしも故人の宗教宗派がわからなければ葬儀会社へ問い合わせてみましょう。
香典を辞退されることもあるかもしれません。そうした場合にはお悔やみを述べるだけでよいですが、香典辞退を聞くまで準備だけはしておくべきです。
香典の常識


所作_言葉づかい


所作


[好印象を与える挨拶]

【あ】明るく
【い】いつも、イキイキと
【さ】爽やかに、先に(自分から)
【つ】続けて(ひと言を添える)
という挨拶の基本があります。

このうち【つ】は、「暖かくなってきましたね」などの言葉でもよいですが、「そのバッグ似合っていますね」など、相手の方個人に向けたポジティブな言葉かけだとより好印象になります。言葉は人を幸せな気持ちにも不快な気持ちにもさせます。人はいくつになっても褒められると嬉しいものなので、よい言葉はどんどん発していきましょう。

[お願いやお断りをする場合]

お願いするときや、お断りをするときは、【クッション言葉】を使うと柔らかい印象になります。例えばお断りする場合、「できないです」で終わらせず、「申し訳ございませんが、致しかねます」に続けて「●●ならできますが」といった言葉を付け加えましょう。「今度の日曜、時間ない?」と誘われた場合も、「ないよ」で終わらせず、「せっかくなんだけど予定があるんだ」など、日曜は予定があるけどいつなら空いているよ、というプラスアルファが大事になってきます。
お願いの場合も「大変お手数ですが」といったクッション言葉を前置き、「●●していただけませんか?」と、最後を質問形の言葉にしましょう。これで相手側に決定権を委ねる形になります。

[美しい佇まいや好印象な表情]

佇まいは内面から見えてくるものです。まずは気持ちを整えなければ美しい佇まいとはなりません。その上で、CHIC世代の方は筋力が衰えてくることも考えられるため、背筋を伸ばすことを意識してください。また、何かをしながら同時に他のことをするのではなく、【一回一動作】を心がけましょう。
表情については前述しましたが、目も口も心も笑うことが大切です。それだけで柔らかい雰囲気になり、周りの人があなたに話しかけやすくなります。
お辞儀については概ね下記のイラストの角度を意識してください。ただ、相手の身長によってもこの角度は異なりますし、座っている相手はより深いお辞儀が必要だと思います。その場に応じて、相手に頭頂部が見えるようなお辞儀にしましょう。この時、首だけが落ちてしまわないよう注意が必要です。さらに、【分離礼】という言葉もあります。「挨拶をしながら」お辞儀をするのではなく、「挨拶をした後」にお辞儀をすることで美しく見えるでしょう。
お辞儀の角度


言葉づかい


[電話・メールの言葉づかい]

レストランなどに予約の電話を入れる際は、ランチタイムやディナータイムなど忙しい時間帯は避けます。これは相手のことを考えるマナーの基本です。メールの場合は基本的に相手の都合を考えなくてもよいというのが利点ですが、最近はパソコンのアドレスに送ったメールもスマホに連動して音が鳴る設定にしている方も多いので、あまりに非常識な時間帯は避けるべきです。
一方、電話は声だけのコミュニケーションです。声のトーンをワントーン高めにしましょう(ドレミの「ソ」の音くらい)。声だけで表情を伝えるため、声を聞くだけでこちらが笑顔でいることを想像できる【笑声(えごえ)】をぜひ意識してください。

[これを言い換えてみよう]

「すみません」
(依頼)恐れ入ります
(感謝)ありがとうございます
(謝罪)申し訳ございません

「参考になりました」
●勉強になりました

「コーヒーでいい」
●コーヒーがいい

「大丈夫です」
●結構です
●よろしいです

「結構です」
(お代わりをお断りする場合)
●充分にいただきました

「何の用ですか」
●どのようなご用件でしょうか

「わかりました」
●かしこまりました
●承知しました

「知っています」
(物)存じております
(人)存じ上げております

「ご苦労さまです」
●お疲れさまです

「おられます」
●いらっしゃいます

「こっち、そっち、あっち」
●こちら、そちら、あちら

「その通りです」
●おっしゃる通りです
●さようでございます