株式会社ますやみそ 代表取締役社長/舛本 知己さん

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株式会社ますやみそ 代表取締役社長
舛本 知己さん

【プロフィール】
1975年、呉市出身。日本大学を卒業後、大手印刷会社に勤務。その後、アメリカのサンダーバード国際経営大学院でMBA(経営学修士)を取得。2004年に㈱ますやみそに入社し営業販促課に配属。2007年に代表取締役社長就任。
就任以降も国内はもちろん、海外での販路拡大のため各地を商談で訪問する多忙ぶり。また、新しい分野への参入を目指し新商品の開発にも積極的に取り組む。同社東広島工場は今年6月、食品安全システムに関する国際認証規格であるFSSC22000を取得。この認証取得により、ヨーロッパを中心とした海外への輸出拡大を狙う。
以前の趣味はロッククライミングだったが、首のケガにより断念。現在はシーカヤックや無人島キャンプ、洞窟探検などを楽しむアクティブ派。また、年に数回バーでDJをしてリフレッシュしている。出張や接待、海外滞在などが多いため、体調管理も気にかける日々。


どこにも負けない「糀」を
世界へ広めたい


 呉にルーツを持つ「ますやみそ」は、戦後の糀屋から出発し、現在では国内外に広がる味噌ブランドへと成長。5代目となる舛本知己さんは、アメリカ留学を経てMBAを取得後、2004年に入社。両親の体調悪化をきっかけに家業を継ぎ、2007年には代表取締役に就任しました。就任後まもなく両親を亡くすという状況も重なり、プレッシャーを感じる暇もなく、がむしゃらに改革に取り組んだといいます。

 学生時代には食品工学を専攻。卒業後は印刷会社に勤めて食品や化粧品のパッケージデザインに携わりました。この経験が、後の新商品開発や販促活動に大きく役立っていると話します。特に味噌業界の課題である「夏場の売上減少」に向き合い、もろみみそや冷や汁、甘酒などのヒット商品を次々と生み出しました。こうした姿勢は「とにかく課題を前にしたら手を止めない」という、社長自身の生き方そのものを映しているよう。ちなみに、もろみみそは、消費動向を示す日経POSでトップ常連の商品です。

 社長就任当初は、社内がまだFAX中心のやり取りという時代。そこでまず業務効率化やDXを推し進め、世界基準に追いつく仕組みづくりを行いました。「やるべきことを徹底的にやる」という強い意志は今も変わらず、トップとして常に心に留めているのは「不公平をしないこと」だと語ります。社員一人ひとりと真っ直ぐに向き合い、相手を思いやる「礼節」を企業理念に掲げる姿からも、その人柄がにじみ出ています。

 もちろん、技術や品質へのこだわりも欠かせません。とりわけ「糀」は会社の命であり、徹底した品質管理を経て最高のものだけを使用しています。クラシック音楽を聴かせて熟成させるというユニークな試みも、祖父である初代の「みそ屋だってロマンを持っていい」という精神を受け継ぐもの。変わりゆく食生活や環境、人々のライフスタイルの中で、伝統を守りつつも新しい発想を柔軟に取り入れる姿勢は、舛本さん自身の経営スタイルとも重なります。

 「どこにも負けない糀が当社の強みです。良い糀を作り続けることが、お客様にとっても従業員にとっても商品にとっても最も大切です。ここを一歩も譲ることなく、農作物と深く結びつく会社だからこそ、地球環境を大事にしながら世界に糀を広めていきたいですね」。創業100周年に向けたビジョンを語る舛本さん。その言葉には、経営者としての使命感と、一人の人間としてのまっすぐな思いが込められています。




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1929年にこうじ製造業免許を取得、同年4月に麹製造業を生業とする「舛本商店」として創業。1965年5月に現在の商号に変更し、設立した㈱ますやみそ。鍋の素や即席みそ汁など新商品開発にも積極的で、2017年には生糀仕込みの甘酒を発売し人気に。