株式会社エスエーホールディングス
代表取締役社長/相川 真太郎さん

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株式会社エスエーホールディングス
代表取締役社長
相川 真太郎さん

【プロフィール】
1979年呉市音戸町にて1934年創業の相川写真館の4代目として生まれる。2007年(株)スタジオアイ入社。専務取締役を経て2014年代表取締役社長に就任。主軸ブランドのトータルスタジオフォセットを岡山・九州エリアへ進出、15店舗に拡大。以後、新ブランドとしてクリエイティブスタジオイノセンス、ブライダルスタジオリアン、セルフ写真館フフを立ち上げ、フォトスタジオを25店とインドアゴルフレッスン「ステップゴルフ」5店を運営。2016年SAホールディングス設立。相川写真館をグループ化。2019年広告事業(株)SAメディアラボを設立、同年呉市のタウン情報誌「月刊くれえばん」を事業承継。2021年WEB制作、内装事業を手掛ける(株)越前屋の全株式を取得、グループ化。2024年一般建設業を営む天童土木(有)の全株式取得、社名を(株)SAディールとし広島市に設立。
趣味は読書とゴルフ。


写真館を柱に、
多角化ではなく多能化を


 「子どもの頃は修学旅行に自社のカメラマンがついてくるのが嫌で(笑)家業に良いイメージはなかったですね」と話す相川さん。東京でサラリーマンを経験後、父親に呼ばれUターン。当時は写真館の収益の半分以上を占める結婚式が減少し続ける厳しい時代でしたが、これを脱却するため、東奔西走。業界知識ゼロからのスタートも「好きなようにやれて、楽しく仕事に没頭できたのは父のおかげ」と当時を振り返ります。
 4代目を継いで10年。現在はコンセプトの異なる様々なフォトスタジオを展開し、親子三代のハレの日を形に残し続けています。一方、スマホの普及により写真を撮ることが日常になった近年は、写真館にとって激動の時代でもありました。業態が混在・飽和する市場。それでも〝写真屋さん〟という軸は曲げたくないという思い。そんな折に転機となったのが、地元呉のタウン誌の事業譲渡の話でした。「元々、撮影やデザイン、自社冊子などは作っていたので、タウン誌事業は共通項も多く、培った技術を活かしながら他の企業様のため、地域活性化のために役立てるのではと考えたんです」。これを機に、視野が広がり事業に対する考え方が変わってきたと相川さん。その後、ウェブ制作会社や建築会社をM&A。販促からフォトスタジオのデザイン・施工まで全て内製化を実現しています。「と言っても、実はこちら側から積極的に動いたことはなく、写真館という家業をやってきたからこそできるサービスはないか、働いてくれるスタッフがもっとステータスを感じてくれることはないか…と考えていたときにたまたま良い出会いがあっただけなんです」。昨年からはゴルフ事業もスタート。これまで何十万組という家族が利用してきた自社のフォトスタジオ。そんな家族が世代を問わずスポーツに親しみ健康でい続けてほしい…という願いを込めての船出です。
 企業規模を拡大する中にあっても「スタジオを100店舗作りたいわけじゃない。今の技術を活かしてできることを増やしたい」と明言。曰く「多角化」ではなく「多能化」。幅広く展開する事業の中枢は今も変わらず写真館で、その写真館だからこそ培ったデザイン力やホスピタリティで色んな事業にチャレンジできていることを示したいと語ります。「今年で創業91年。100周年に向けて展望を語るのは簡単ですが、老舗こそ危うい時代。固定観念をいかに壊すか…そのために大事なのが行動力だと思いますし、スタッフにも思い切りアクションを起こしてもらいたい。そこでスタッフが失敗しても、認め、次も同じように任せることが、父から受け継いだ経営者としての仕事の流儀です」。




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憧れのペブルビーチ(米カリフォルニア州)で父とプレー。写真はサイプレスの木のあるフィニッシングホール。左サイドは太平洋で夕暮れの美しさも圧巻です。