株式会社アンデルセン 代表取締役 社長執行役員/松本 真一さん

vol52_松本さん
株式会社アンデルセン
代表取締役 社長執行役員
松本 真一さん

【プロフィール】
1968年、広島県出身。
崇徳高校時代、学校の売店で販売されていた「陳さんの蒸しパン」を食べ、タカキベーカリーのファンに。大学を東京で過ごし地元で就職を考えたときに、食べることが好きな自分に銀行員だった父から勧められた企業がタカキベーカリーだった。
1990年4月 株式会社タカキベーカリー入社
1993年12月 株式会社アンデルセン青山アンデルセン
2003年4月 同社アンデルセン伊勢丹立川店店長
2006年10月 同社営業本部東日本営業部東日本エリアエリアマネージャー
2008年9月 同社営業本部アンデルセン営業部長
2014年4月 同社アンデルセン小谷サービスエリア店店長
2018年4月 同社営業本部東日本営業本部長
2019年 4月 同社執行役員営業本部東日本営業本部長
2022年4月 同社代表取締役社長執行役員現職
広島と東京を行き来する多忙な生活の中で、ランニングなど体を動かすことが健康法。また、学生時代ラガーマンだったことから、今でもラグビー観戦が趣味。


スタッフの自律は、
すべてお客様のために


 創業時、新聞紙包装があたりまえの時代にいち早く白い紙に変えたこと。広島アンデルセン開店の際にトレーとトングでパンを取るセルフ方式を日本で初めて採用したこと。焼きたてのパンを広げ、朝早いパン屋の仕事をなんとかしたいと冷凍パン生地の技術を開発し、特許を取得し、それを業界のために公開したこと…。比治山で創業した小さなパン屋が国内はもちろん海外まで展開するまでには、いつも課題と、それをクリアするための創業者、先輩方の発想があったと熱く語る松本さん。自身も、NYの有名料理学校への海外研修、青山アンデルセンではパンづくりに没頭、伊勢丹新店舗では売上やベーカリーの存在意義について学ぶなど、多くの経験の中で常に課題を乗り越えてきました。
 中でも印象深いのが、山陽自動車道・小谷SAでの4年間。この店舗では、お土産物からレストランまで全て自社で運営しており、SA運営に詳しいスタッフが周りにいない中で、いかに広島らしさを出していくかに店長として苦心の日々だったと振り返ります。「広島の食材を使ったメニューを考えたり、お客様に喜んでいただける企画を考えたり、会社の社長のように全体をマネジメントするのは、大変ですがとても面白かったですね」。そして、店舗全体が輝くために、一緒に働くスタッフをどう伸ばしていくか、燻っている人をどう活躍させるかがこの4年間最大の学びであり、いまなお松本さんの仕事の根っこにあるものです。「失敗は許容し、共有して次に繋げる雰囲気を作る、権限移譲して部下の自律性を促す。これらは当時から思っている目指す姿です。お店のお客様のことを一番知っているのはそのお店のスタッフですから、一人ひとりがどんな店舗、どんな会社にしていきたいかを常に考えることが重要で、それを実現できる場を作ることが会社の役割です」。『企業は人材により作り上げられるもの』これは創業者・高木俊介氏の言葉。同社では、毎年社員5名が約1年半、県北にある研修施設で共同生活の中、土地を開墾し小麦を育てパンづくりを学びます。また、接客するスタッフもパンの専門家であるために歴史・文化まで幅広い知識を身につけていきます。周りから「人材育成にそこまで?」と言われても、これが連綿と続くアンデルセンスタイルなのです。
 パンのある食卓を楽しむためのものが揃う、本通にある旗艦店「広島アンデルセン」。連日多くの人で賑わいますが、まだまだです、と松本さん。コロナ禍を越え、ようやく通常営業できるようになったこの店舗から、「食卓に幸せを運ぶ」という変わらない創業の思いを具現化するチャレンジを続け、育ててもらった広島のお客様に恩返しがしたいと、そしてそのために〝人が大切〟なのだと明言します。




2017年のひろしま国際平和マラソン

何もしないと太ってしまうと話す松本さんの休日は、10〜15㎞ものランニング。目標は東京マラソンで、現在3年連続抽選に落選中。写真は2017年のひろしま国際平和マラソン。