株式会社 文華堂 取締役会長
株式会社 華苑 代表取締役 伊東 由美子さん

vol49_伊東由美子さん
株式会社 文華堂 取締役会長
株式会社 華苑 代表取締役
伊東 由美子さん

【プロフィール】
現安芸高田市出身。1971年、株式会社文華堂の後継者・伊東顕氏と結婚し、文華堂に入社。2002年、病気で倒れた夫の後を継ぎ7代目代表取締役に就任。明治元年創業という歴史ある会社で、企画・営業・総務・人事・経理など幅広い実務経験を持つ。代表取締役として約20年、赤字からの回復やリーマンショック時の環境変化への対応など、苦しい時期を何度も乗り越え、一方、家庭においては三人の息子の母、嫁、妻、主婦の役をこなしてきた。2020年、代表取締役を8代目に譲り会長に就任。同年12月、「社会貢献/健康/人縁/感謝・喜び・楽しむ」を目的に株式会社華苑を立ち上げる。 2022年に開講した社長夫人・女性後継者向けの『社長の参謀塾』はたちまち話題に。企業内研修インストラクター資格、企業内コーチング資格、電話対応技能検定指導者資格など資格多数。趣味は茶道、野山の散策、ヨガ、ゴルフ。


〝広島を元気にする〟種蒔きが私の使命。

 昭和46年、文華堂の6代目・顕氏と結婚。印刷・印鑑の家業を手伝い始め、企画・営業・総務、人事・経理などを担って来ました。順風満帆なときばかりではありませんでしたが、振り返ればいくつかの大切な出会いがあったと伊東さん。ひとつは株式会社化し、税理士を探していた頃。たまたまお客様として来店した公認会計士から「解らないまま決算を税理士に任せてはいけない」と言われ、決算報告ができるまで数年、徹底して指導してもらいました。仕事と嫁、母、妻、主婦で毎日ヘトヘトでしたが、「経営に関わる者なら試算表を理解すべし」を20代の頃に叩き込んでもらったことに感謝しかありません。また、社員を一気に増やし職場が混乱してしまった際には、自分が描く会社の理想と現実に直面。ここで出会ったのが「叶 匠壽庵」の創業者・芝田清次氏。最初は講演を聞き、自分の目指すべき会社だと衝撃と感動を受けましたが、これまた縁あって、その後は滋賀まで足繁く通う関係に。経営の何たるかを多く学ばせてもらいました。
 しかし平成10年、顕氏が突然病に倒れます。朝から晩まで病院に付き添い、それから会社で仕事、また朝から付き添いという生活が半年も続き、社長と社長夫人を失った会社の業績は目に見えて悪化。当時を「最悪な時、色んな方のアドバイスやご意見をいただきました。しかし、最終的な意思決定は社長である私の責任。だからこそ社長夫人としてもっと知識と力をつけておかなければならなかったんです」と振り返ります。その後社長となり、時代の変化に合わせた舵取りで会社を成長させてきた伊東さん。自身のこうした経験から、令和2年には中小企業の経営者・経営幹部向けの支援事業や社長夫人・後継者向けの参謀育成事業を行なう新たな会社(華苑)を立ち上げました。「私はなんとか経営者と介護生活の20年を卒業させていただきましたが、それが叶わなかった社長夫人や女性後継者もいらっしゃいます。そうした方を出してはならないと僭越ながら新会社を設立しました」。令和4年に実施した「社長の参謀塾」では、実際に受講した女性たちがその役割や必要なスキルを理解し、自らの場所で輝き始めているそう。「こうした活動を続けていくことで、広島の中小企業に活力溢れる経営幹部が増え、さらに広島が元気になると信じています。私の仕事はそのきっかけづくりです」。多くの苦難や出会いを経て、後に続く人のためになお精力的に動き続ける伊東さん。曰く「責任を持って伝えられるのは、実際に経験してきたからですよ」と。




交流を深めてもらうことを目的にした「茶ろん」活動

交流を深めてもらうことを目的にした「茶ろん」活動のひとつ、山登り・トレッキング同好会で、広島市と府中町にまたがる高尾山へ。この他、ゴルフクラブや実用ビジネス書塾などがあり、次世代を担う人財が楽しみながら縁をつないでいます。伊東さん自身も、各活動へアクティブに参加する日々です。