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【広島の歌姫】ソプラノ歌手・乗松恵美/インタビュー①
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乗松恵美さんは、広島を拠点に、国内外で活躍中のソプラノ歌手です。
中学生で歌の道を志すことを決意。
夢を叶えた後、「天使の歌声」を響かせながら、これまでに、数々の賞も受賞されてきました。
現在は、歌手として、さらに指導者として、日々を過ごされています。
これまでの歩みや、日常のことから、現在、新たに挑まれている「トゥーランドット姫」役について、インタビューをしてみました。
▼この記事を読んで分かること
◎ソプラノ歌手・乗松恵美さんの魅力。
◎オペラ「トゥーランドット」に挑む心境。
◎声楽家を志したきっかけと、日常。
この記事を読めば、ソプラノ歌手・乗松恵美さんの魅力がわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 「トゥーランドット姫」役に挑む心境
透明感のある「天使の歌声」をもった乗松恵美さんは、東京藝術大学音楽学部声楽科ソプラノ専攻を卒業後、東京藝術大学大学院独唱科を修了され、さらに京都市立芸術大学大学院音楽研究科で、博士号も取得されています。
様々なステージに立ってこられた、まさに「広島の歌姫」。
今回は、「トゥーランドット」公演直前の、貴重なお時間の中、インタビューに答えてくださいました。
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●このたび、広島シティーオペラ『トゥーランドット』のトゥーランドット姫役で出演されるということですが、公演の見どころや、乗松さんの意気込みを教えてくださいますか?(ライター:山田)
(乗松恵美)
「オペラ《トゥーランドット》と言えば、トリノオリンピックの金メダリスト、荒川静香さんの競技テーマ曲で、カラフ王子が歌う『誰も寝てはならぬ』が、1番の聞きどころと言えるのではないかと思います。
残念ながら、タイトルロールであるトゥーランドット役の歌うパートには、そう言う部分はありません(笑)
その割に、ソプラノ歌手の歌う役としては最大の難役のひとつと言われています。
トゥーランドットは、求婚してくる相手に謎かけをして、『謎が解けなければ処刑する』という言葉の通りに、全ての相手の命を奪って来ました。
この苛烈な行動の理由は、彼女の祖先であるロウ・リン姫が、『国に侵略して来た狼藉者に殺されてしまったことへの復讐』だと話します。
求婚者たちのふるまいを、『命をかけると言えば、何でも許されると思っている』『思い上がりだと感じている』トゥーランドットは、かつて欲望のままに振る舞った侵略者と、求婚者たちの姿が重なり、激しい憤りを感じるのだと思います。
そして統治者であるロウ・リン姫が倒れたことにより、『国の民が殺戮されたという凄惨な過去を、自分の民に繰り返させはしない』という強い使命感が、トゥーランドットを駆り立てています。
ただ『処刑が趣味の狂気の人』のように勘違いされることもあるトゥーランドットですが、彼女なりの正義と信念を持って、国の民を守るための、己の責任を必死に果たそうともがいているのだと私は思っています。
ただ、使命感だけで揺らがずにいられるほど大人な訳でもない、脆い幼さを持った人物だと、曲の端々に出てくる言葉や音で感じています。
『正義感』や『誇り』といった、一方向から見ると美しい言葉がもつ危うさを体現したようなトゥーランドットが、オペラの中でどのように成長して救われていくのかを、是非ご覧いただきたいです。」
●ありがとうございます。「トゥーランドット姫」が、いかに難役であるのかということ、そして、乗松さんが魂をこめて役を演じておられるのかがよくわかります。
「トゥーランドット」への理解が深まり、私も舞台を拝見するのが、ますます楽しみになりました。(山田)
2. 声楽家を志した理由
●声楽家になろうと思われたきっかけは、いつ頃で、どのような理由からでしょうか?(山田)
(乗松)
「歌の道に進みたいと思ったのは、中学3年生の時です。
私の母校の広島女学院は、中高一貫校で、高校受験がないので、中3の時、大学以降の進路を考えた時に、ふと中学1年生の時の、担任の先生が仰ってくださった『音大に行って歌を勉強すればいいのに』という言葉が浮かびました。
音楽のテストに毎回独唱のテストがあるのですが、テストの度にクラスメイトが、私が歌い終わると拍手をしてくれるのが嬉しくて、なんだかその気になってしまった、と言うところでしょうか(笑)
でも、中学生の時は3年間、音楽と無縁のバスケットボール部だったんです。
私は音楽仲間の中でも『体力あるねぇ』とよく言われるのですが、バスケ部の3年間が今の基礎体力を作ってくれたのかもしれないですね。」
●乗松恵美さんと、私、そして私の娘は、同じ中学校・高等学校の卒業生ですよね。
母校は、まさに「個性」を伸ばしてくれる学校でした。バスケ部からの見事な転身とは、素晴らしいですね!
卒業年は違えど「音楽」を通じて、クリスマスコンサートなどで、ご一緒の舞台に立てる機会があることを、私は光栄に、嬉しく思います。
また、ご一緒に歌える日が戻ることを願います。(山田)
3. 日ごろの心がけ
●良いコンディションを保つために、心がけておられることは何でしょうか? (山田)
(乗松)
「自分の声、音を客観的に観察することでしょうか。
日常の練習の際に、短くフレーズで区切って録音しては聴き、その時に自分の思った通りの表現にできる声になっているかチェックしています。
無理をしている時は、音も美しくないですから。
自分のやろうとしていること、欲しい音に相応しい、身体の使い方ができているかを観察しています。
身体の使い方を考え続ける集中力が持続できないと演奏できないので、とにかくよく眠るようにしています。
声を回復させるためには、何より水分と睡眠と言われていますので、ちょっと普通じゃないくらい水分と睡眠は取りますね (笑)」
●なるほど、「水分補給」と「よく眠ること」が秘訣なのですね。
身体全体を使うソプラノ歌手の健康管理は、とても大変なことがわかります。
私も、睡眠を大切にしようと改めて思いました。(山田)
4.まとめ
乗松恵美さんから、「トゥーランドット」に挑む心境と、貴重な「ソプラノ歌手生活」について、伺うことができました。
華麗な舞台でのお姿と、お優しくチャーミングな素顔も、たくさん知ることができ嬉しいです。
パート② では、さらに魅力をお伝えしてまいります。
<パート② へつづく>
東京藝術大学音楽学部声楽科ソプラノ専攻卒業。同大学大学院独唱科修了。
京都市立芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了、博士(音楽)号取得。
博士論文「ヒロシマを題材とした声楽作品によるアウトリーチ活動」。
マダム・バタフライ国際コンクール in 長崎 優勝。ひろしまフェニックス賞、広島文化賞新人賞受賞。
広島市市政120周年記念式典に於いて、ソプラノ独唱。
2009年テグ市(韓国)国際オペラフェスティバルに招待歌手として参加。
(財)地域創造公共ホール音楽活性化事業、平成22,23年登録アーティスト。
同事業の支援事業アーティストとして継続登録中。
キングレコード「越天楽のすべて(’02年レコード大賞受賞)」でソプラノソロを務めCDデビュー。
2013年、ファーストソロアルバム「consolo~コンソーロ」をリリース。
現在、故郷の広島を拠点に、各地で演奏活動を行う。
日本演奏連盟、日本音楽学会、「ヒロシマと音楽」委員会会員。
NHK文化センター、エリザベト音楽大学、比治山大学短期大学部講師。
ミリオンコンサート協会所属。藤原歌劇団正団員。
- オフィシャルウェブサイト
- ソプラノ 乗松恵美
【レパートリー】
オペラ | ヴェルディ | 《椿姫》ヴィオレッタ 《アイーダ》アイーダ 《仮面舞踏会》アメーリア |
---|---|---|
プッチーニ | 《蝶々夫人》蝶々さん 《ラ・ボエーム》ミミ 《修道女アンジェリカ》アンジェリカ 《ジャンニ・スキッキ》ネッラ | |
モーツァルト | 《フィガロの結婚》伯爵夫人 《魔笛》パミーナ, 侍女Ⅰ 《ドン・ジョヴァンニ》ドンナ・エルヴィーラ | |
ドニゼッティ | 《愛の妙薬》アディーナ | |
ビゼー | 《カルメン》カルメン, ミカエラ | |
J. シュトラウス | 《こうもり》ロザリンデ | |
マスカーニ | 《カヴァレリア・ルスティカーナ》サントゥッツァ | |
レオンカヴァッロ | 《パリアッチ》ネッダ | |
ヴォルフ・フェッラーリ | 《イル・カンピエッロ》ガスパリーナ | |
プーランク | 《カルメル会修道女の対話》メール・マリー | |
芥川也寸志 | 《ヒロシマのオルフェ》若い娘のちに看護婦 | |
ジョルダーノ | 《メーゼマリアーノ》シスター・パツィエンツァ | |
合唱曲ソリスト | モーツァルト | 《レクイエム》 《戴冠ミサ》 |
ヘンデル | 《メサイア》 | |
J. S. バッハ | 《ロ短調ミサ》 | |
ハイドン | 《ネルソンミサ》 | |
メンデルスゾーン | 《ラウダシオン》 | |
ベートーベン | 《第九》《ハ長調ミサ》 |