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【長唄三味線奏者】川東陽華さんインタビュー/日本の響きを広島で伝える
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日本の伝統音楽の魂を紡ぎ出す、長唄三味線。
その音色は、時に力強く、時に優しく、聴く者の心を揺さぶります。
今回、この美しい楽器を操る一人の奏者、川東陽華さんにお話を伺う機会を得ました。
川東さんは、ただ演奏するだけでなく長唄三味線を通じて日本の伝統文化を世界に広める活動を行っています。
この記事では、川東さんの音楽への情熱、長唄三味線との出会い、そして彼女が追求する音楽の世界を深掘りします。どうぞお楽しみください。
▼この記事を読んで分かること
◎長唄三味線奏者・川東陽華さんの魅力。
◎長唄三味線奏者を志したきっかけとは?
◎長唄三味線教室や、プライベートについて。
この記事を読めば、長唄三味線奏者・川東陽華さんの魅力についてわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 長唄三味線について
「長唄三味線」は、長唄というジャンルの音楽を演奏するための三味線のことを指します。
長唄は、江戸時代に歌舞伎の伴奏音楽として成立し、主に江戸で発展してきた三味線音楽のひとつです。
演奏は基本的に「唄と三味線」で成り立ち、曲目によっては小鼓、大鼓、太鼓、笛などで構成される「お囃子」がつくこともあります。
それが独立した音楽として現代に伝えられてきました。
--長唄三味線について教えてください。(ライター:山田)
川東陽華さん(以下、川東さん):「一番太い『太棹(ふとざお)三味線』は津軽三味線のグループ、地歌三味線や民謡は『中棹(ちゅうざお)三味線』というジャンルで、私は一番細い、細棹(ほそざお)三味線の『長唄』というジャンルです。
『長唄の三味線ひき』ですね。」
2. 邦楽の道へ
--長唄三味線奏者を志したきっかけは何ですか?
川東さん:「両親が和楽器に親しんでいました。
趣味で父は“しの笛”、母は“和太鼓”を。
それで私も小学生の頃に、海田で伝わる和太鼓をしていたんです。
高校生の時に父から『東京藝術大学をめざしてみないか?』と勧められて、広島で師匠につきました。
まずお囃子をはじめた時、鼓などの伴奏が長唄でした。
長唄三味線も実技試験のひとつで、三味線とお囃子を平行して習いました。
その時、私は『三味線の方がいいなぁ』と思いはじめて。
準備期間は高校2年生からのスタートで短かったんですけれど。」
--今までで一番つらかったことはありますか?
川東さん:「学生の頃、邦楽の世界のことを全く知らずに入って、例えばその世界の独特の習慣などを知らずに入ったので、代々その家で育った同級生のオーラや空気感に戸惑いました。
あとは圧倒的に持ち曲が少なかったので、とにかく曲に追われている学生時代でした。
基本、三味線弾きは楽譜を暗譜しなければならなくて。暗譜に時間がかかりました。」
--それは大変な経験でしたね。一番良かったことは何でしょうか?
川東さん:「普段会えない友達や演奏家と会えることが一番ですね。
東京で演奏することもあるのですが、東京の友人たちとは離れていても、今でも繋がりがあります。
同級生と演奏会を企画したり定期演奏会に出たり、一緒にがんばろう!と思えることが良いですね。」
3. 日本の伝統芸能を伝えたい!
--お教室に通っている方々の年齢層は?CHIC世代でも弾けるようになりますか?
川東さん:「小学生から70代まで、幅広いです。
最年長は78歳の方です。60代から始められました。
早い方は半年くらいでできるのですが、きちっと演奏するとなると一年くらいは必要ですね。
人によりますが、2曲くらいは弾けるようになると思います。」
--私たちは五線譜ですけれど、和楽器の楽譜は違うのですか?
川東さん:「楽譜の種類はいくつかありますが、普段の楽譜は番号で表記されています。」
「後にこちらが出来て、初心者はこちらの方が弾きやすいです。
昔は譜面がなかったので、チントンシャンなど歌いながら覚えていました。」
--基準の音は?
川東さん:「基準の音は変わります。
唄うたいが中心なので、歌う方が歌いやすいようにあわせます。
長唄は1曲が短いもので8分、長いもので1時間近くあるのですが、1曲の中で3弦の調弦が変わります。
例えば《ドソド》→《ドファド》と変わるのも、曲の一部になっているんです。
たぶん、洋楽をされている方には弾きづらいですね。
不思議な感覚だと言われます。」
--驚きました。伝統文化ですね。
川東さん:「弦は絹糸なので、はじめに弦を合わせていても絶対に狂うんです。
狂いを直しながら弾いていきます。
一番細い『3の糸』は、本番の1時間前に換えます。
爪も割れることがあるんです。
三味線は人さし指を立てて押さえます。
それで『糸道』という爪が削れるという特徴があるんですね。」
--私も弦楽器を弾きますが、三味線は指の腹が硬くなるだけでなく、爪も大変なことになるのですね。
4. 演奏活動
--演奏活動について教えてください。
川東さん:「広島市東区民文化センター主催の邦楽に特化した『きらり★邦楽』というシリーズの担当をさせていただいています。
長唄三味線だけではなくて、お箏などいろいろな邦楽の方を毎年ゲストに迎えています。
楽器の演奏ももちろんですが、人柄に対してもファンになっていただきたくて演奏会を開いています。
あとはマンドリンやマリンバともまたいつかやりたいと思っています。
学校の古典授業の一環で、コンサートを企画してくださって演奏することもあります。」
--若い世代の方に、伝統文化に触れてもらうことは大切ですよね。
私が川東さんと初めて会った時も、小学生の皆さんにお稽古されていました。
純粋に、一生懸命に長唄三味線に取り組む小学生の皆さんが、とても素敵でした。
川東さん:「最近はジャズピアノの大林武司さんとコラボさせていただいています。
クラシックピアノとはまた雰囲気も違って自由な感じで、とっても楽しかったです。
今後は自主公演も続けていきたいです。」
5. プライベートな時間も大切に
--趣味は何ですか?
川東さん:「旅行や食べることは大好きですね。
あとは、体を鍛えることが好きなんです。
月に数回、ジムに通っています。
筋力をつけたり、姿勢をキープしたりしたいので。
実はピアノもやっています。
芸大の受験に必要で、高校生の時から習っていました。
今も趣味で続けています。」
--SNS にかわいい愛犬のお写真がありましたけれども。
川東さん:「ミニ柴のハナちゃんとよく一緒に過ごします。
とてもいい子でおとなしいんですよ。
癒やされています。」
6. まとめ
川東陽華さんの魅力をご紹介しました。
美しい着物姿、笑顔でインタビューに答えてくださいました。
インタビュー中、目の前で長唄三味線の響きを聞くことができ、感動のひととき。
ぜひ皆さんも長唄三味線の演奏に触れてみてください。
【プロフィール】
長唄三味線奏者
川東 陽華(吉住小裕満)
(Haruka Kawahigashi)
広島県出身。東京藝術大学音楽学部邦楽科長唄三味線専攻卒業。
皇居内の桃華楽堂にて御前演奏。
長唄三味線を吉住小美裕氏に師事。
2014年より「川東陽華三味線独奏会」を開催。
2018年日本インドネシア国交樹立60周年記念事業、バリ芸術祭(Pesta Kesenian Bali)出演。
広島県内の小・中学校にて訪問演奏、広島市東区民文化センター主催
「きらり★邦楽」のコンサート企画・出演など、邦楽の普及に積極的に取り組んでいる。
現在、中区橋本町・安芸郡海田町にて川東陽華長唄三味線教室「華扇会」主宰。長唄協会会員。
- 名称
- 川東陽華長唄三味線教室
- 住所
- 広島県安芸郡海田町南つくも町1-3
- TEL
- 090-9735-9662
- お問い合わせメール
- n.shamisen@ymail.ne.jp
- ホームページ
- 川東陽華長唄三味線教室
- haruhana.k