RCC中国放送 アナウンサー/坂上 俊次さん

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RCC中国放送 アナウンサー
坂上 俊次さん

【プロフィール】
1975年生まれ、兵庫県出身。RCC中国放送アナウンサー。スポーツ中継では、カープ戦約700試合を中心に幅広い競技の実況を担当。JNN・JRNアノンシスト賞では優秀賞を4度、最優秀賞を2020年と2025年の2度受賞。ラジオ特番「生涯野球監督 迫田穆成」では制作・取材・ナレーションを手がけ、第77回文化庁芸術祭賞大賞、2023放送人グランプリを受賞した。アナウンサーとして活躍する一方、作家としても精力的に活動。第5回広島本大賞に輝いた『優勝請負人』をはじめ、『生涯野球監督 迫田穆成 83歳、最後のマジック』『轍学 広島ドラゴンフライズ朝山正悟 人生のルールブック』など11冊の著書を上梓。最新刊は『本屋の未来を、なぜか僕らが考えてみた』。ファイナンシャルプランナー(AFP)など多彩な顔も持ち、スポーツや人への取材を通して、広島の人間ドラマを伝え続けている。


実況者が辿り着いた“書くこと”の尊さ


 子どもの頃から話すことが好きで、高校の進路相談をきっかけにアナウンサーを志した坂上俊次さん。大学時代、全国の放送局のアナウンサー試験に挑戦するも、結果はいずれも不合格。夢を諦めきれずに大学を留年。「このままでは足りない」と感じ、球場や電車の先頭車両で実況の自主練習を重ねました。自分の言葉で試合を描く力を磨いたことで翌年の試験に合格し、RCCへ入社。2000年5月5日、カープの首位攻防戦で早々に実況デビューを果たしました。

 実況で大切にしているのは「いつ聴いても状況がわかること」。スマホの一球速報より早く、正確に伝えることを常に意識しています。若い頃は他の実況者との差別化を考えていましたが、40代で「目の前の試合に没頭すること」が最も重要だと気づき、言葉もよりシンプルになっていったといいます。旧市民球場時代はカープも自身も下積みでしたが、新球場になり仕事が増え、チームも強くなり、30代は「夢のような時間」だったと振り返ります。リーグ3連覇の喜びを「野球の応援はNISAのようだと思います。弱い時からコツコツ積み立てることでいつか大きな喜びになって返ってくる」と表現し、長く関わることの大切さを語ります。

 本を書き始めたのは元カープ監督・三村敏之さんの勧めで、「アスリートマガジン」の連載は25年以上続いています。「書くと見え方が急激に変わる」と坂上さん。書こうとすると聞き方が丁寧になり、取材の目が細かくなり、選手との関係も深まりました。また「人が目をつけていないところに目をつけることこそマーケティング」と考え、今売れているものより「これから大きくなるもの」に手間と情熱を投資したいと話します。長年、実況という「諸行無常」の仕事を続けてきたからこそ、50歳を迎えた今、「形あるものを残したい」という思いが強くなったといいます。試合は常に流れ続け、喜びも翌日には次の試合に上書きされていく。その中で「本という朽ちない媒体で、普遍的なことを書きたい」「自分がいなくなっても残る本をつくりたい」と語り、「書くことは尊い」と感じているそうです。また若い世代の育成にも力をいれ、音源を送ってくる学生には丁寧にアドバイスをされています。そこには「人を残すこと」も自身の使命だという思いがあります。一番幸せな時間は読書。三浦綾子、夏目漱石、宮沢賢治など、普遍性と新しさを併せ持つ日本文学に強く惹かれると話します。休日は読書、ジム、接骨院という過ごし方が理想とのこと。

 50代からの人生を豊かに過ごすために大切なことを一つ尋ねると、坂上さんの答えは「目」でした。情報をただ受けとるのではなく、自分の目で見て、感じ、考えることを、実況席で培ってきたように、世の中の変化や人の気持ちに目を凝らす。その積み重ねが、人生をより豊かにしてくれるといいます。




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一球、一打のドラマを声に乗せて。カープ戦約700試合を実況してきた坂上さんの“伝える仕事”の原点。